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Excel 重複削除のやり方とは? ボタンの使い方や抽出方法も解説

2022 年 4 月 15 日

大量のデータを用いた統計分析や、組織内の複数部署から集計用データを取得しまとめるといった作業は、Microsoft Excel で簡単に処理できます。しかし、複数のデータを結合すると、データの重複が問題となることがあります。
今回はそんな重複に対処する方法を確認しましょう。

重複を削除するイメージ

1. 重複を削除するための方法

重複を削除するために最も簡単な方法は、Excel の「重複の削除」ボタンを使うことです。データ タブにある重複の削除ボタンを押すと、ダイアログ ボックスから範囲対象の列を選ぶだけで簡単に重複対象を削除できます。

【重複の削除ボタン:ウィンドウの幅が広いとき】

Excel の重複の削除ボタン (ウィンドウの幅が広いとき)

【重複の削除ボタン:ウィンドウの幅が狭いとき】

Excel の重複の削除ボタン (ウィンドウの幅が狭いとき)

1-1. グラフ作成法

重複の削除ボタンの基本的な使い方を紹介します。例として、以下のデータから「市町村」の重複を削除してみましょう。

Excel の表

【重複の削除ボタンの使い方】

1. 対象となるテーブルを選択
※テーブルを選択するときは、重複を確認する列だけではなく、関連する列も選択する

対象となるテーブルを選択

2. 「データ」タブから「重複の削除」ボタンをクリック

「データ」タブの「重複の削除」ボタン

3. 重複の削除画面が表示されるので、重複の削除の対象となる列のチェック ボックスにチェックを入れて (例では「市町村」を選択)、「OK」ボタンをクリック
※「先頭行をデータの見出しとして使用する」にチェックを入れると、列の先頭行がタイトルとして識別され、重複確認の対象外となる

「重複の削除」ダイアログ ボックス

4. 重複があった場合は重複するデータの中の最初の行が残り、そのほかの行は削除される

重複が削除された後の表示

この場合、データを比較すると 6 行目と 12 行目、7 行目と 11 行目のデータが重複するため、11 行目と 12 行目が削除されます。

7 行目と 11 行目では値列の内容に差異がありますが、重複確認の対象列を市町村列のみとしているため重複判断の対象となり、後ろにあった 11 行目が削除される動きとなりました。

重複削除前後の表示

1-2. 重複を確認したい列が複数ある場合

重複の確認対象列が複数ある場合は、ダイアログ ボックスで複数の列を選択します。選択した列すべてが一致した場合、重複と見なされます。

例として、以下のデータから「市町村」「区分」「値」の重複を削除してみましょう。

Excel の表

【複数の重複削除の方法】

1. 対象となるテーブルを選択し、「データ」タブから「重複の削除」ボタンをクリック

対象となるテーブルを選択

2. 重複の削除画面が表示されるので、重複の削除の対象となる列のチェックボックスにチェックを入れて (例では「市町村」「区分」「値」の 3 つを選択)、「OK」ボタンをクリック

「重複の削除」ダイアログ ボックス

3. 選択したすべての値が一致する行のみ削除される (例では「市町村」「区分」「値」の 3 つが一致する値)

重複が削除された後の表示

この場合、データを比較すると「市町村」「区分」「値」の 3 つの値が一致するのは 7 行目と 13 行目のため、13 行目が削除されます。

重複削除前後の表示

1-3. 注意点

重複の削除の利用にあたって、注意したい点が 3 つあります。

1 つ目は、重複の削除ボタンでは、表示形式に依存したチェックが行われる点です。値が同じでも見た目が異なる場合は重複と見なされないため、行が保持されます。
以下の例では、重複の削除ボタンから値の列の重複を削除しました。

Excel の表

この場合、10 と 10.00 は同じ値ですが、表示形式が異なるため重複としてカウントされません。

次に注意すべき点は、重複削除後は重複していた場所を確認できない点です。

重複した数は重複削除後にメッセージが表示されるため、重複があったことは確認することができますが、何行目のどの値が重複として削除されたのかは確認することができません。

重複が削除された後の表示

3 つ目の注意点は、重複する値は完全に削除されるという点です。元に戻すボタンや [Ctrl] + [Z] キーの操作可能範囲なら元に戻すことは可能ですが、予期せぬデータの削除に備えて、重複の削除ボタンを使うときは元のデータは別途保存しておいたほうがよいでしょう。

2. データを残したまま重複を非表示にしたい場合は関数でフラグを立てる

重複の削除ボタンは手軽に使えますが、データそのものをなるべく欠損させたくない場合もあるでしょう。そのような場合は、重複する箇所に印を付け、フィルターで非表示にするという方法もあります。

ここでは重複位置に印を付ける方法を紹介します。

2-1. MATCH 関数と IF 関数を組み合わせる

MATCH 関数は検査するセルと同一のセルが見つかった場合、最初に見つかった行位置を返す関数です。
引数は「検査値,検索範囲,(照合の種類)」で、照合の種類は、1 は検査値以下の最大値、0 は検査値と完全一致する最初の値、-1 は検査値以上の最小値を検索します。
照合の種類は省略可能で、省略すると 1、すなわち検査値以下の最大値が指定されます。

以下の例では、MATCH 関数を使って、「千葉市」と合致する値を B2 から B6 の範囲で検索しています。

MATCH 関数を使って「千葉市」と合致する値を B2 から B6 の範囲で検索

この場合、「千葉市」が指定した検索範囲の 3 行目にあるため、3 が返ります。

この特性を持った MATCH 関数を利用することで、見つかった行の位置が検索するセルの位置と異なる場合、重複があったと見なすことができます。
さらにイメージしやすいように MATCH 関数と IF 関数を用いて重複個所にフラグを立てていきましょう。

【MATCH 関数と IF 関数で重複にフラグを立てる】

まず MATCH 関数で重複を確認したい文字列が、参照範囲の上から何番目に位置するか上から順に参照していき、初めに一致した番号を返します。その数字が対象セルと同じ No なら重複は存在せず、対象セルの No と異なれば重複があるということになりますので、IF 関数で判定します。
以下の例を見ると A 列 No.10 および No.11 は A 列と C 列の値が異なっていることがわかります。この状態なら重複されたものと判断できます。

MATCH 関数と IF 関数で重複にフラグを立てる

実際に重複を確認する場合、1 つの列で比較するケースよりも複数の列を対象に重複確認を行うことの方が多いでしょう。複数の列にこの関数を利用する場合、重複を確認したい列を結合し、重複確認文字列を作っておくと簡単に複数列を対象とした重複確認が行えます。

例として、以下のデータから「市町村」「区分」の 2 列を対象とした重複を削除してみましょう。

Excel の表

1. 重複チェックのために No、重複確認文字列、重複チェックの列を作成 (例では、A ~ C 列を挿入。B2 セル、重複確認文字列に「=D2&E2」の式を入力し「市町村」「区分」を結合。B11 までコピーする。)

No、重複確認文字列、重複チェックの列を作成

2. B2 の重複確認文字列のセルに対して、「=IF(MATCH(B2,$B$2:$B$12,0)=A2,"","〇")」の式を入力し、式を C12 までコピー (重複確認文字列の「札幌市 A」の行数 1 と A2 の番号が同じなら空白、異なるなら「〇」を返す)

B2 の重複確認文字列のセルに対して、「=IF(MATCH(B2,$B$2:$B$12,0)=A2,"","〇")」の式を入力し、式を C12 までコピー

MATCH 関数の式は最初に検索した数値を返します。そのため重複がある場合は、重複している 2 つ目以降が A 列の No と異なる数値となるため、IF の式で偽となり、「〇」が返ります。
式の内容をわかりやすくするため、下図では MATCH 関数の式を重複チェックの横の列に追加しています。

MATCH 関数の式は最初に検索した数値を返す

この場合、No が 10 と 11 の行では MATCH 関数の式がそれぞれ最初に見つかった 6 と 5 を返しているため、No と異なる数値となり、重複であると見なされます。

3. 「データ」タブから「フィルター」ボタンをクリック

「データ」タブの「フィルター」ボタン

4. 重複チェック (C1 セル) の列名横の「▼」をクリックし、〇のチェックを外し、OK ボタンをクリック

重複チェック (C1 セル) の列名横の「▼」をクリックし、〇のチェックを外し、OK ボタンをクリック

5. 重複の行が非表示になる

重複の行が非表示になった表

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3. 重複を抽出するための方法

MATCH 関数を利用した場合、2 つ目以降の重複は見つけることができますが、1 つ目の重複は見つけられません。重複を初めから見つけたい場合は、簡単に抽出する方法がいくつかあります。

ここでは「条件付き書式」と「COUNTIF」の 2 種類の方法を紹介します。この方法は、データ量が少なく、まずは目視で重複を確認したい人に向いています。

ただし、後からフィルターなどで重複を排除しようとすると、最初の 1 件目も消えてしまうため、1 章・重複の削除ボタン利用時や2 章・MATCH 関数と IF 関数の併用と意識して使い分ける必要があります。

3-1. 重複対象に色を付けて見やすくする

MATCH 関数と IF 関数の組み合わせでは、偽の場合にあたる時に設定した文字列が重複になりますが、より直感的に重複する値に色を付けて確認する方法があります。

【条件付き書式で重複を見つける】

1. 重複を探す対象範囲のみを選択

Excel の表

2. 「ホーム」タブの「条件付き書式」の「セルの強調表示ルール」から「重複する値」をクリック

「ホーム」タブ「条件付き書式」の「セルの強調表示ルール」から「重複する値」をクリック

3. 重複しているセルすべてに色が付くので、「OK」ボタンをクリック (書式を変更する場合はドロップダウン リストから書式を変更できる)

「重複する値」ダイアログ ボックスの「OK」ボタン

なお、ダイアログ ボックスで「一意」を選択すると、重複する値への色付けとは逆に一意の値に色を付けることもできます。

「重複する値」ダイアログ ボックスの「一意」を選択

条件付き書式を使った重複の確認は、重複の削除ボタンと異なり対象となるデータを選択する機能はないので、複数の列で重複を確認する場合、MATCH 関数の式を使ったとき同様に、重複確認文字列を作ると複数の列での重複の確認が可能です。

また、重複の削除ボタンでは、表示形式に依存したチェックが行われましたが、条件付き書式では結果が異なります。
以下の例では、条件付き書式で重複に色を付けています。

条件付き書式で重複に色を付けた表

この場合、表示形式が異なる 10 と 10.00 は同じ値と見なされ、両方の行が重複として色付けされます。

3-2. COUNTIF 関数を使う

COUNTIF 関数を用いてデータの出現件数を確認することもできます。COUNTIF 関数は検索範囲の中の検索値の個数を返す関数です。そのため、1 より大きい数値になったデータは重複していることになります。

COUNTIF 関数の場合、1 つ目のデータも重複として 2 以上の値が返るので、削除する場合は注意してください。2 となったものを削除すると、重複していたデータ全体が消えてしまいます。

【COUNTIF 関数で重複を見つける】

1. D2 のセルに「=COUNTIF($A$2:$A$12,A2)」の式を入力し、式を D12 までコピー (市町村の値を A2 から A12 の範囲で検索し、個数を返す)

D2 のセルに「=COUNTIF($A$2:$A$12,A2)」の式を入力し、式を D12 までコピー

2. 一致する値の数が表示される

一致する値の数が表示された表

COUNTIF 関数を使う際によくあるミスとして、$ (絶対参照) の付け忘れによるオートフィルでの参照範囲のずれがありますので注意してください。

4. まとめ

単純な重複削除は、重複の削除ボタンを利用するのが便利です。ただし、重複の削除ボタンでは、削除された内容を確認できない点に注意しましょう。

重複の削除ボタンを使わず、データを残したまま重複を非表示にしたい場合は、MATCH 関数と IF 関数の組み合わせを利用してフラグを立てることで重複をフィルターできます。こちらの方法もぜひお試しください。

【参考】関連する関数

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これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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