持続可能性とは?
国連のブルントラント委員会によって定義されているように、持続可能性とは "将来の世代が自分たちのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすこと" です。
概要:持続可能性とは?
持続可能性の定義:「将来の世代が自分たちのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすこと。」
「持続可能性」は新しい言葉ではありませんが、この 持続可能な開発 の定義は、1987 年に国際連合 (U.N.) が作成したレポートである、「Our Common Future」の中で作成されましたブルントラント委員会。この転換点となるレポートは、世界中の科学者、研究者、業界リーダー、政府との広範なデータ収集と聴聞の結果です。そして、多様なグローバル環境の危機を解決するためには、世界は、包括的で持続可能なソリューションで対処する必要がある「連動する危機」として扱う必要があると結論付けました。
この記事では、持続可能なソリューションに対するこのようなニーズに応えるために生まれた持続可能性のトレンドとテクノロジーについて、クラウド コンピューティングやモノのインターネット (IoT) の持続可能性の利点を含めて紹介します。
持続可能性の原則
国連のブルントラント委員会によるレポートが発表されて以降、人、企業、政府機関は持続可能な未来を達成するために、次の 4 つの主要な原則の確立に着手しました。
カーボン ネガティブ
直接排出量の削減、無炭素エネルギーの使用、使用される炭素エネルギーのオフセット、 環境から使用される炭素の除去を行います。
ウォーター ポジティブ
水の使用量の削減、使用した水の補充、きれいな水へのアクセスの促進。
ゼロ ウェイスト
廃棄物の削減、使い捨てプラスチックの排除、完全にリサイクル可能な製品と包装の開発。
健全な生態系
種の保存と生息環境の保護。
二酸化炭素排出量の削減については、多くの組織が以下の 3 つの領域に取り組んでいます。
直接排出量
商品の製造や輸送のための化石燃料の燃焼など、企業活動によって直接生じる排出量。
間接排出量
建物の電気や冷暖房など、エネルギーの生産によって間接的に生じる排出量。
間接的バリュー チェーン排出量
持続可能性の重要性
持続可能性は、当然ながら私たちの地球を生息可能な状態に保つために重要です。そのためには、廃棄物の削減、天然資源の保護、生態系の保全などの分野で本当の意味での前進を図る必要があります。幸いなことに、世界中の個人、企業、政府機関は、これを達成するための野心的な目標を設定しています。
テクノロジは、ここでいくつかの重要な役割を果たします。産業界では、再生可能なエネルギー源の出力を拡大し、より環境にやさしい自動車、家、商業施設を作るなど、私たちがエネルギーを利用する方法を変えつつあります。しかし、それによる影響を測定するためのタイムリーで正確なデータがなければ、私たちが正しい方向に進んでいるかどうかを知ることができません。そこで、IoT の出番です。 IoT とは?
過去 20 年の間にコンシューマー向けスマート デバイスの可用性と多様性が爆発的に拡大したように、産業用 IoT デバイスの数と種類も大きく増加しました。これらのデバイスを使えば、温度、降水量、野生生物を監視できるため、遠隔地からでも貴重なデータを収集できます。また、政府機関は IoT デバイスを使って、野生生物の密猟、廃棄物の投棄、保護林の伐採など、違法な活動を見つけて対処できます。
持続可能性のための IoT についてご確認ください。
持続可能性のトレンド
地球温暖化や森林破壊などの環境問題がますます警戒すべき状況にあることが科学的に示されているため、より多くの人や組織が、環境への影響の軽減や阻止、および持続可能な未来への貢献に取り組んでいます。これらの取り組みは善意に基づくものですが、導入や測定が難しい場合があります。
身近な例として、 持続可能な製造があります。 消費者は、持続可能な購入の決定に役立つように製造業者が (多くの場合、製品の包装に関して) 採用し、推進している数多くの認定と標準についてよく理解しています。
ただし、すべての企業や認定プログラムが、実際の影響を効果的に測定できるわけではありません。しかも、二酸化炭素の影響を測定することはきわめて重要です。この目的のため、Microsoft では、カーボン ネガティブになるために取り組んできた独自の経験に基いて、無料の 持続可能性ガイド を作成しました。このガイドは、企業が次の 3 つの重要な目的を達成するのに役立ちます。
持続可能性ガイド
持続可能性への取り組みをさらに進める会社をお手伝いします。
組織が目指し、測定すべき適切な対象として、カーボン ネガティブ、ウォーター ポジティブ、ゼロ ウェイスト、および健全なエコシステムが挙げられます。進捗状況や課題を公開する企業が増えていますが、このことは、グローバル コミュニティが影響を測定し、互いの成功事例や問題から学ぶために重要です。たとえば、Microsoft では、その取り組みの結果を 環境持続可能性レポートで毎年公開しています。
持続可能なテクノロジの例
持続可能性についての議論では、電気自動車や地域でのリサイクルの取り組みなど、個人の貢献や個人で導入できるテクノロジに焦点が置かれることがほとんどです。しかし、各業界や企業が開発している持続可能なテクノロジも、気候変動に対処するためのエキサイティングな方向性を示しています。
以下に、各業界が導入している持続可能なテクノロジの例を 2 つ紹介します。
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製造
重工業機器の製造業者は、自動化ソフトウェアとインテリジェントな製造分析情報を使用して、製造ライフサイクルのあらゆる段階で 持続可能な原則を最適化します。
製造企業は、クラウドと IoT のテクノロジ、自動化ソフトウェア、データ分析情報を使用して、製造ライフ サイクル全体で出力を増やしながら、業務を最適化し、無駄とエネルギーの使用量を削減する方法を見つけます。
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建設
建設と解体の業界は、世界で最も多くの廃棄物を排出している業界の 1 つです。廃棄物の削減により、環境破壊の典型的なイメージである "埋立地のごみの山" に対処します。
建設会社は、場所にリンクされ、"マテリアル パスポート" に登録された ID を原材料に付与するテクノロジ プラットフォームを使って、埋立地に投棄される廃棄物の量を減らすことができます。このテクノロジにより、原材料のリサイクル、再販、再利用が可能になり、より持続可能な建設に向けた決定が促されます。
持続可能なテクノロジとクラウド コンピューティング
気候変動に対処するために開発されている持続可能なテクノロジに共通する要素が、 クラウド コンピューティングです。クラウド コンピューティングとは単に、コンピューティング サービス (これにはサーバー、ストレージ、データベース、ネットワーキング、ソフトウェア、分析、インテリジェンスが含まれます) をインターネット ("クラウド") を介して提供することです。
クラウド コンピューティングは、次の方法で環境への影響を軽減します:
- 従来のエンタープライズ データセンターよりも必要なエネルギーが少ない。
- IT 運用効率の向上。
- IT 機器の効率の向上。
- データセンターの効率の最適化。
Microsoft の 2018 年のケース スタディでは、オンプレミスのワークロードをクラウドに移行すると、企業の二酸化炭素排出量を最大 98% 削減できることを示しました。
クリーン エネルギーと持続可能な未来に向けた前進は、地域的な影響から始まります
地球規模での気候変動の問題は依然として深刻ですが、地域レベルでの進捗の例を見ると、より持続可能な未来が実現する可能性を感じ取ることができます。世界中のコミュニティでは、テクノロジを使って環境的成果を向上させるこにより、気候変動に地域的な影響を与える方法を模索しています。これらのコミュニティでは、エネルギー使用量の削減、よりカーボン ニュートラルな電力への移行、革新的で持続可能なテクノロジによるより環境にやさしい未来の推進に取り組んでいます。
以下に、持続可能性の実現に向けて前進している地域プロジェクトの例をいくつか紹介します。
南アフリカの水危機の緩和
南アフリカの西ケープ州では、3 年連続で深刻な干ばつに見舞われ、雨がほとんど降らなかったために貯水池にはわずか 10% の水しか溜まっていませんでした。信頼できる水源がないため、地域の病院は患者に適切な治療を施すことが難しく、住民の健康と生存は深刻な危機に直面していました。
西ケープ州保健省は、地域の自治体関係者や組織と連携し、水の供給が完全にストップしないようにするために、どの保全活動が最大の利益をもたらすかを判断しました。彼らはインテリジェント テクノロジを使って、53 か所の公立病院にスマート メーターを設置し、レポート ダッシュボードによって水とエネルギーの使用量を計測するようにしました。病院ではこのダッシュボードを使って、水漏れ、水圧、使用状況を積極的に監視し、修理や給水車のサービスを迅速に実施できるようにしました。このプロジェクトは、約 10,000 床の病院のベッド (1 か月あたり約 100,000 人の患者) に影響を与え、年間 640 万キロリットルの節水につながったと推定されます。
アイルランドの原生林を再生する
アイルランドは、その緑豊かな丘と植物が生い茂る景観から、エメラルドの丘とも呼ばれていますが、その一方で、大規模な森林破壊が進行しています。実際、アイルランドはオランダと並んで、ヨーロッパで最も森林が少ない国であり、森林は 11%、原生林は 1 % しか残っていません。この状況を改善するため、アイルランド政府は、新たな原生林を作るためのプログラムを作成しました。
民間企業とのパートナーシップと資金提供を通じて、アイルランド森林局は、新たな原生林を作るために、農家の土地所有者に 1 ヘクタールあたり 1,000 ユーロを支給しました。それと引き換えに、各農家がその森林を自分の土地に無期限で所有できるようにしました。その結果、農家などの土地所有者は、収入源を増やすことができると同時に、温室効果ガス排出の悪影響を逆転させるための重要な手段である森林再生に協力できました。
アイオワ州デモインの都市部の森林
都市部や地域で木を植えて育てることには、数え切れないほどのメリットがあります。木は日陰をつくり、きれいな空気を増やします。また、木が近くにあると精神的な健康が改善され、日曜日に公園を散歩したり、仕事の前に朝早くジョギングしたりと、体をたくさん動かしたくなります。さらに、地域や近隣に木が多いほど、安全であることが研究者によって明らかにされています。
非営利団体の Trees Forever は、都市における植林に独自のアプローチを採用しています。この団体は、植林と環境保護を、若者の間の労働力の育成やグリーン キャリア (環境にやさしい働き方) の促進と結びつけています。この団体では、緑が十分になく、サービスが行き届いていない近隣地域に木を植えて世話をするよう若者を訓練することで、コミュニティの能力を高めて、地球を守る取り組みを進めています。こうした取り組みにより、Trees Forever は Microsoft の Environmental Sustainability 賞を受賞しました。
持続可能性への行程を加速
ネット ゼロへの道のりをどこまで進んでいるかにかかわらず、Microsoft Cloud for Sustainability の環境・社会・ガバナンス (ESG) の機能で進歩を拡大し、ビジネスを変革することができます。
よく寄せられる質問
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持続可能性とは、将来の世代が独自のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす能力です。
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持続可能性の実践に従つことは、地球を維持するために不可欠です。
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持続可能性の 3 つの柱は、社会、経済、環境です。
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持続可能なテクノロジーは、組織が人や地球に悪影響を与えにくい運用を行うのに役立ちます。テクノロジーは、無駄とリソースの使用を減らし、運用効率を向上させ、より健全なコミュニティを作成するのに役立ちます。
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持続可能なソリューションとは、組織が社会、経済、環境への影響を改善するのに役立つソリューションです。Microsoft Cloud for Sustainability は、企業が現在の影響をより深く理解し、達成可能な持続可能性の目標を設定し、進行状況を追跡および報告するのに役立ちます。
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