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業界

AI 新時代における流通業界の共創に向けた第一歩。Microsoft Retail Open Lab 第一回セミナー「生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて」現場レポート

この数か月、Chat GPT をはじめとする生成 AI の話題は尽きることがない状態が続いています。IT 専門メディアだけでなく一般メディアでも連日取り上げられ、サラリーマンが宴席で話題にするほど、人々が興味関心を注ぐこの話題は、言うまでもなく流通業の経営者から従業員、関連する取引先にとっても注目の的となっています。

継続的な DX の取り組みに立ちはだかる壁

コスト削減や生産性向上を通じて利益を確保しつつ、さまざまな顧客接点を通じて支持を獲得し、持続的な成長を果たすために、激しく速い変化を特徴的な背景として有する流通企業は、この数年、DX への取組を続けてきました。
各社は、モバイルや IoT センサーなどのデバイスや、クラウドテクノロジーのレベルアップを背景に、デジタル活用による[顧客体験向上][従業員生産性向上][サプライチェーン高度化][データによる新たな価値創造][ブランド価値の向上][取引先との協働][革新的な製品やサービスの開発]などのビジネス変革に取り組んでいます。

この過程において、この変革に向けた取り組みは継続的なものである必要があり、DX においては、IT 部門のみならず経営や事業に携わるすべての「人」がデジタルやデータを活用し、迅速に変化対応していく新たなスキル獲得と文化醸成などが必要であるという気づきも得られました。
しかし、世界情勢からくるコスト高や少子高齢化による人口動態の変化も重なり、有効な労働力の確保やそのレベルアップなどは生易しいものではないことも分かってきています。

人の能力を補完し、競争力を高める生成 AI の可能性

そのような中、生成 AI は「人」の能力を高度に補完し、前述のような変革推進に寄与する可能性があると期待されています。
マイクロソフトは OpenAI 社とのパートナーシップなどを通じて、現在この生成 AI の潮流をリードしています。そしてこの数年[Microsoft Cloud for Retail]といった施策を推進し、国内外流通(小売/消費財製造業)企業の DX プロジェクトに伴走しており、多くの海外先進流通企業が DX のさらなる推進に向けて、マイクロソフトと共同で生成 AI 活用の取り組みを開始している状況です。

例えば、小売業はオンラインでの顧客体験を向上させ、コンバージョンを上げるために、大量のユーザーレビューを要約し、あたかも接客担当者と対話しているかのようなパーソナライズコミュニケーションを実装するオンラインチャットボットや、店舗内状況に応じて店舗授業員の優先タスクを振り分けるための業務支援アシスタントの実装の試行に入っています。

また消費財製造業は、工場の稼働率向上や安全性確保のため、さまざまなデータソースを組み合わせたレポート生成に活用したり、コールセンターやカスタマービスセンターでのサービス向上のための実装を試行したりしている状況です。

日本の流通企業でも、こういった試行を加速的に推進できれば、変革を通じて競争力を一気に高められるのではないかと期待されています。
しかし前述の通り、世の中に生成 AI に関する情報があふれているとは言うものの、正確な情報を入手、理解し、また、流通業の DX にとって、そして自身の業務にとって、生成 AI がどういったインパクトをもたらす可能性があるのかについては、一部の先行企業や人を除くと、全体的にはまだ充分な理解が進んでいない状況があると考えられます。

生成 AI を理解し、成果につなげるための「Microsoft Retail Open Lab」

過去に類を見ないほど、この生成 AI というテクノロジーの進化スピードは凄まじいものがあります。情報を正しく理解し、まず触ってみる→ユースケースを仮説し、PoC を実行する→メリットや課題を特定し、本番実装に向けて企画する、といった一連の流れを素早く回してしていくことが重要です。

このたび日本マイクロソフトは、「Microsoft Retail Open Lab」を発足し、セミナーと、ワークショップなどの実行支援策を流通企業に提供することを決定しました。また参加流通企業間及び IT ベンダー(パートナー)間のオープンなコミュニケーションを通じて共創を誘発し、より多くの企業が生成 AI 活用を通じて成果を得ることできるように、施策を順次展開していく予定です。

第一回セミナーは「知る」をテーマとして 2023 年 6 月 30 日に開催。オンラインを含む約 500 名の流通業関係者が参加し、大いに好評を得ることができました。以下に、運営事務局がまとめたレポートを掲載します。
なお、「共有する」をテーマに今年の秋に開催を予定している第二回セミナーでは、各流通企業が取り組んでいる PoC や、IT ベンダーによる新たな開発プロジェクトから、知見や考察の共有を企画する予定です。
ぜひ Microsoft Retail Open Lab にご期待いただき、積極的にこの機会を活用いただきたいと考えております。

<第一回 Microsoft Retail Open Lab 開催レポート>

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基調講演

『生成 AI の可能性とビジネスへの実装に向けて』

東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻 教授
松尾 豊 氏

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 NTO
田丸 健三郎

基調講演では、人工知能と Web 工学の第一人者であり、政府の AI 戦略会議の座長を務める東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻 教授の松尾 豊氏と、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 NTO の田丸 健三郎による、AI の現状についての講演と対談が行われました。

松尾氏は、「ChatGPT は機械学習の常識を覆す社会現象」であると、そのインパクトの大きさを語ります。「ChatGPT は世界中で競うように活用方法を発見されており、世界中の人がこの技術が世の中を変えることに強い確信を持っている」と松尾氏。

中長期的に見ると「検索」という行動はなくなる可能性があり、Microsoft のOffice シリーズは GPT が搭載された AI ツール「Copilot」によって大きく進化し、さらに人々の仕事の方法も影響を受けることが予想されるといいます。

そんな状況のなかで我が国の反応はこれまでにないほど早く、AI 戦略会議ではすでに暫定的な論点整理がなされていると松尾氏。「リスク対応」「AI の利活用」そして「AI の開発」という 3 つの観点で対応が協議されており、特に計算資源の確保を課題としてスピード感を持って取り組んでいるそうです。

とはいえ我が国の企業、自治体においてはまだ ChatGPT を「使ってみている」段階であり、組織内での活用や業務改革への活用といったフェーズには至っていないと松尾氏。「私たちは新しい時代に入っています。ぜひいろいろな形で活用してほしい」と呼びかけて講演を終えました。

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続いて田丸は、AI 活用と切っても切り離せないデータという観点から講演を行いました。田丸によると、これまでは知見を得られた後には使い捨てられていたデータは、「深層学習、特に ChatGPT の出現によって、学習に用いられ新たな価値を生み出すものとして、その価値が大きく変わってきた」といいます。

一方で、データを知的財産という観点から見ると、各国で考え方が大きく異なると田丸。我が国は規制が最も少ない国のひとつであり、協議が進められている段階だとし、企業側の対策が必要なことを示唆します。

続いて田丸は、マイクロソフトでは何層ものレイヤーの仕組みを設けて、セキュリティを確保していることを示します。そして「Microsoft Azure OpenAI」や「Microsoft Security Copilot」といった AI 活用サービスを、データのファインチューニングからプロンプトエンジニアリングに至るすべてのフェーズをクローズド環境で実施できるソリューションとして紹介しました。

最後に田丸は、マイクロソフトは「これまで手間をかけていた作業をいかに単純化して、本来フォーカスすべき業務に集中できるか」にフォーカスしてさまざまな取り組みを行っていることをアピールして講演を終了しました。

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基調講演の後半は、松尾氏と田丸による対談が行われました。「ChatGPT に対する政府の取り組みのなかで注目すべきポイントは」という田丸の質問に対して、松尾氏は「これまでになく対応が迅速な点」であるとし、その理由として「言語モデルなので意思決定層に多い年配の方にも理解しやすいこと」と「DX を進めなければいけないという危機感の高まりにフィットしたこと」が挙げられました。

続いての質問は「組織内のデータをうまく活用するうえで考えるべきこと」。松尾氏は「組織内の情報をうまく活用すれば、さまざまな業務が効率化する」とし、組織内の文書の検索しやすさ、プロンプトの管理、データへのアクセス権などを整理することが大切であると回答します。

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それを受けて「アセットマネジメントが有効ということですね?」と問いかける田丸に対して「使っていい情報とそうではない情報があることを考えると、クラシフィケーションという概念が変わる可能性がある」と松尾氏。
本来組織外に出せない情報を外部に提供する必要が生じたときに、これまでは人間同士で断片的な情報や雰囲気でお互い察していた部分を、AI がどのように補うことができるかが大事と、AI のヒューマンパリティの獲得への期待を語ります。

最後に田丸は「AI 時代のデータ管理」について質問。松尾氏は「ChatGPT のような LLM がやっていることは情報変換であり、企業内データの結合やサプライチェーンにおけるデータ連携などをより上手に行ってくれる可能性がある」とし、データの活用は業務効率化や迅速化にとってますます重要になってくることを示唆。それに対して田丸が、マイクロソフトのソリューションはデータの整備や活用に大きく貢献できることをアピールして、対談は終了となりました。

ソリューション紹介

『小売業の DX を加速:マイクロソフトの生成 AI と Copilot を活用したビジネスソリューション』

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員クラウド & ソリューションズ事業本部 インテリジェントクラウド統括本部統括 本部長
大谷 健

本セッションでは、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員クラウド & ソリューションズ事業本部 インテリジェントクラウド統括本部統括 本部長の大谷 健より、マイクロソフトのソリューションを使った生成 AI の活用法に焦点を当てた講演が展開されました。

大谷はまず、全世界でユーザーが 1 億人を突破するのに要した期間がたったの 3 ヶ月だったというデータを見せて ChatGPT の規格外の影響力を示し、「我々がやりたくない仕事をやってくれたり、やってほしいことをやってくれる便利屋」という言葉を使って表現。そして ChatGPT を使いこなすためには、プロンプトエンジニアリングの技術とデータの整備が必要であることを強調します。

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続いて大谷は、いくつかの事例を紹介。米国のカーマックス社では、ChatGPTを活用して、人力で 11 年かかる規模の中古車情報の Web ページ制作を数 ヶ 月で完了したといいます。日本でも多くの企業が業務に ChatGPT を活用し始めており、そこに共通する現象として、部署レベルではなく全社レベルで取り組んでいることが挙げられる、と大谷。

そして、これらの企業にマイクロソフトの Azure OpenAI Service が選ばれている理由として大谷が強調したのが、「顧客のデータを学習に使わないこと」そして「閉域網でサービスを利用できること」。さらに長年の OpenAI 社との協業実績から、ほぼリアルタイムで最新の OpenAI 社のサービスを使えることをメリットとして挙げます。

マイクロソフトは現在、提供するほぼすべてのクラウドサービスに AI を盛り込もうとしており、社内に閉じた形で、しかも社内の非公開データだけでなくプラグインによってオープンデータも活用できる環境を提供可能です。
すでにさまざまなオンラインサービス提供社とプラグインのエコシステムが構築されており、「これを活用すれば世界中の高品質なデータから欲しい答えを得られる世界が実現できる」と大谷。
その世界観を示すひとつの例として、日本マイクロソフト株式会社 インダストリーテクノロジーストラテジストの岡田 義史による、マイクロソフトの Azure OpenAI Service を利用して開発したレシピアプリのデモンストレーションが行われました。

このアプリでは、食べたい料理や食べさせたい人、食べる目的などを入力することで、レシピの候補だけでなく、栄養学の専門家からのアドバイスやおすすめの組み合わせ、足りない食材などが回答として示され、近所のスーパーマーケットの提案やデリバリーサービスの紹介も行われる、というものでした。

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岡田によると、このアプリは最近発表された Azure OpenAI Service のリファレンスアーキテクチャを参照することで、約 2 週間という短い期間で完成できたとのこと。逆に苦労した点としては、データの整備を挙げる岡田。家族のプロフィールやレシート情報をどのようにデータベースに組み込むかが大きな壁だったと語ります。

これを受けて大谷は「結局のところ、AI をうまく活用するためにはよいデータを持っているかどうか」が大切であると語り、現在データアナリティクス領域にはさまざまなサービス群が乱立しており、どれが最適なツールなのか選びにくい状況であるという課題を挙げます。

そして大谷は、マイクロソフトの新たな取り組みとして分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」を紹介。ワンレイクというコンセプトを掲げて、散財するデータを 1 ヶ所に集め、分析し、可視化するところまで一気通貫で対応できるソリューションである Microsoft Fabric は、SQLServer 以来の進化であると胸を張ります。

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最後に大谷は、マイクロソフトが掲げる「責任ある AI」の 6 つの原則を紹介。なかでも「お客さまのデータは常にお客さまのデータである」という点をハイライトし、さらにフィルタリング機能の充実などを例に挙げて、安心して Azure OpenAI Service や ChatGPT を使える点をアピールします。

以上を踏まえて「ぜひ Copilot を活用してほしい」と大谷。今後マイクロソフトの製品に取り込まれる Copilot の利用を促すと同時に、マイクロソフト自体が、まさに顧客企業、パートナー企業の副操縦士として寄り添う姿勢を強調し、「一緒に歩みを進めていきましょう」と呼びかけてセッションを終了しました。

パネルディスカッション

『生成 AI による流通業のビジネスインパクトについて』

株式会社ビックカメラ
執行役員デジタル戦略部長 株式会社ビックデジタルファーム 代表取締役社長
野原 昌崇 氏

資生堂ジャパン株式会社
エグゼクティブオフィサー CDO 兼 EC事業部長 資生堂インタラクティブビューティー株式会社 取締役 DX 本部長
笹間 靖彦 氏

株式会社 ELYZA
取締役 CMO
野口 竜司 氏

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 流通業施策 担当部長
藤井 創一

最後のセッションでは、日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 流通業施策 担当部長の藤井 創一がファシリテートを務めるパネルディスカッションが行われました。

パネラーは、株式会社ビックカメラの執行役員デジタル戦略部長 兼 株式会社ビックデジタルファーム 代表取締役社長の野原 昌崇氏と、資生堂ジャパン株式会社 エグゼクティブオフィサー CDO 兼 EC 事業部長 資生堂インタラクティブビューティー株式会社 取締役 DX 本部長の笹間 靖彦氏、そして AI の専門家である株式会社 ELYZA 取締役 CMOの野口 竜司氏。
今まさに DX の最前線で生成 AI のインパクトを感じているパネラーの言葉を、参加者の皆さんは前のめりになって聞き入っていました。

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パネルディスカッションを始めるにあたり、生成 AI の可能性について野口氏が見解を披露。野口氏によると、生成 AI の出現は「知的生産革命」と言ってもいいレベルのインパクトとのこと。
しかもクリエイティブ、情報検索、データ分析、教育といったあらゆる分野で同時多発的に革命が起きている状況であり、小売業界においても顧客の商品選択の変化、マーケット分析などの接客変革が起きていると野口氏。生成 AI がキードライバーとなって業務 DX および顧客サービスの DX が一気に進むのではないか、と予想します。

笹間氏によると、資生堂では生成 AI を業務効率化に活用できるソリューションとして捉え、現在ソーシャルメディアに投稿する素材の多様化やeコマース上でのリコメンデーションの差別化といったプロジェクトを推進しているとのこと。
笹間氏は、業務効率化から一歩進めて接客シーンへの活用を期待しているとし、「AI 美容部員」構想を披露。時間の制約がなく人との会話のような気づかいも必要がないことから、気軽で率直なリクエストが可能になるはず、と展望を語ります。

一方で野原氏は、生成 AI については「ネガティブではないけれどポジティブでもない」立場であるとし、生成 AI を使っていい接客と使ってはいけない接客がある、と語ります。
例えば「電気ストーブの使い方」といった、間違った情報によって事故が起きかねない場面では生成 AI に接客を任せるのは難しく、「自分に向いている商品を検索する」といった場合には非常に役に立つといった具合に、使い方を考える必要があることを指摘します。

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そういった懸念がありつつも、ビッグカメラのような小売店では顧客理解と商品理解において生成 AI が活用できると考えている、と野原氏。生成 AI を使えば、顧客のデータから「パソコンが好き」といった属性だけではなく「コストパフォーマンス商品が好き」「タイムパフォーマンス商品が好き」といった属性のパターンも意味づけられ、商品に関しても、スペックだけではなく「どんな動機で買われている商品なのか」を理解できるようになるとし、「こういった生成 AI の適正を生かせれば、商品の品揃えが豊富な小売店が顧客にリーチしやすくなるはず」と期待を語ります。

続いて話題は生成 AI の実装について。笹間氏は、生成 AI を実装するにあたっては「ID やデータベースをどれだけ使いやすく、アジリティを持って構築できるか」がポイントであるとし、ビジネス側のリクエストを IT 側がすべて聞いた結果、システムがサイロ化してしまったという自身の苦い経験から、IT 担当部門やベンダーが専門家としての知見を生かしてリードすべき、と注意点を語ります。

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野口氏と野原氏もこの意見に深く同意した様子で、野口氏は「今後、インフラとしての生成 AI 基盤が非常に重要になる」とし、IT 部門がリーダーシップを発揮できる企業とそうでない企業では大きな差がつくだろうと予測。
一方野原氏は、IT 側もビジネス側に近づいていく必要性を指摘し、「ビジネス側にはデジタルトランスレイターが、IT 側にはビジネストランスファ−がいなければならない」と人材の大切さを語りました。

ここでディスカッションのまとめとして、野口氏から会場の参加者に向けて、「全社員向けに ChatGPT を安全に使える環境を整備する“横戦略”に加えて、重要な業務やサービスに生成 AI を組み込んで業務フローやサービスフローそのものを変革する“縦戦略”を進めること」、そしてなにより「とにかく生成 AI を使うべき」というアドバイスが送られました。
「生成 AI を使って、どこまで、なにができるのか。一緒に住むくらいの覚悟で使っていただくと、変化を生み出せるはず」と野口氏。内部人材の育成を並行して進めることも大切、と言葉をまとめました。

最後に藤井から、このセミナーの総括として「マイクロソフトとしては、私たちの施策に関するご案内をしていくことはもちろんですが、皆さまが共創できる“つながり”をつくっていきたいと考えています」と述べ、この Microsoft Retail Open Lab を「セミナー」ではなく「ラボ」と名付けた意図を改めて強調。
ゆくゆくはそれぞれが生成 AI を活用した結果を共有し合い、ともに成長できる場にしていきたいと構想を語り、マイクロソフトによる技術的なサポートを約束してセッションを終了しました。

クロージング

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長
河上 久子

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全セッション終了後に、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括 本部長の河上 久子が登壇。
自身が参加した会合のなかで、グローバル企業の AI 活用のスピード感に驚き、また自分たちでもできると感じたと、AI 活用の可能性に改めて言及。さらに「失敗パターンを共有することが資産になる」という示唆を受けたことを明かし、「数年後すら見通すのが難しい世の中で、失敗確率をいかに減らすかを考えたときに、業界内で情報を共有することによって新たな共創が生まれるのではないか。このラボがそういう場になれば」と述べてセミナーを閉会しました。

セミナー終了後は、参加者、登壇者が参加する懇親会が行われました。参加者の皆さまが会場のあちこちで交わしていた議論の熱量はとても高く、きっとこの先、この Microsoft Retail Open Lab が流通・小売業界の DX を推進するハブとなり、新たな共創が生まれるであろうことを予感させる、第一回セミナーとなりました。

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