ディープラーニング技術をベースに企業向け AI ソリューションを提供する Allganize
AI はビジネスに大きなチャンスをもたらすと共に、社会全体としても AI によってより便利で豊かなものへと変わっていく節目にあると言われています。また、クラウドの普及によって AI は非常に身近なテクノロジへと進化しました。マイクロソフト自身も AI に関する研究開発 (英語) を積極的に推し進めるなど、多大な投資を行っています。
※Azure AI が提供する機能についてはこちらをご参照ください: Azure AI
ディープラーニング技術をベースに企業向け AI ソリューションを提供する Allganize
2017 年創業の Allganize 社は、ディープラーニング技術をベースに企業向け AI ソリューションを提供する企業です。2019 年には日本法人 (Allganize Japan) を設立し、日本市場においても積極的にビジネスを推進しています。
今回、Allganize社の創業メンバーであり、Allganize Japan の代表取締役も務める佐藤 康雄氏に同社の特徴と今後の展望について話を伺いました。
マイクロソフト藤井: 佐藤さん、本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。今年の 3 月には大手の日系企業からも資金調達を実施されて、順調にビジネスを伸ばしておられるようですね。
Allganize 佐藤: はい、自然言語理解の AI ソリューションというところもあり、採用の幅は広く、業種、部門問わずご利用をいただいています。この 1 年は、コロナ禍もあって、DX の文脈で社内外のエンドユーザーコミュケーションのポイントでの採用が多いですね。
直近では、メガバンク様にもご採用いただきました。最近では金融機関さまにおいてこの領域でのアクションが積極的で、たくさんのお問い合わせを頂戴しています。
今年の 3 月 9 日には、日系の企業様含めて新たな株主をお迎えし、総額 10 億円 (累計調達額 16.5 億円) の資金調達を発表 しました。弊社の AI ソリューションの将来性を大いに評価していただき、株主企業様への導入も含めて日本でも数多くのお客様への導入が進んでいるといった状況です。
藤井: ありがとうございます。あらためて、貴社のソリューションについて特徴などを教えていただけますか?
佐藤: 弊社は、質問への高精度な自動応答を実現する AI チャットボット・AI-FAQ 製品である “Alli (アリィ)” をはじめとして、高度な自然言語処理を活かした製品を提供しています。
弊社 AI ソリューションは、主に 3 つの特徴があります。1 つ目は AI としての基本的な性能部分です。
我々の自然言語理解 AI は、日常会話から業界特有の表現にいたるまでその意味や意図を正確に判別・理解して、構造化/非構造化された情報をビジネス活用できるものへと変換します。我々のソリューションはこの部分の性能が非常に高く、実際のお客様事例で既存の他社自動応答 AI ソリューションと比較していただいた結果、初期応答率が高いという評価をいただいています。
また、AI を使い始めるまでの学習に要する時間が短いというのも特徴です。”AIli” の導入事例では、最短で 1 週間で学習を完了し、残りの 1 週間で実装してサービスインしたというケースもあります。このケースにおいても、前述のように精度の高い応答率が得られています。
学習に手間がかかるソリューションの場合、初期リリース時のみならず、運用フェーズに入っても継続的に手間=コストが乗り続けることになります。弊社の AI はディープラーニングを活用して QA データを解析し意味や意図を可能な限り正確に汲み上げることができるようソリューションを構築している他、学習も簡易に実施できるよう環境をご用意しているため、学習にかける時間を最小限にできるのです。
そして、導入コストの低さというのも弊社ソリューションの強みの 1 つです。初期費用、月額ライセンス費用ともに、かなりリーズナブルなレベルになっており、気軽に導入をご検討いただけると考えています。本導入前に、精度検証等を実施いただくトライアル環境の無償提供なども行っています。
藤井: 私もデモを拝見しましたが、高性能な AI が驚くほど身近な存在になったと感じました。弊社のクラウドである Azure AI においても Bot Service や Q&A Maker (英語) という優れた AI を提供していますが、貴社のソリューションはお客様が導入しやすい形に非常にこだわって開発されている印象を持ちました。
佐藤: そうですね、AI を活用した自動応答の仕組みをお客様が導入・運用しやすいよう UI/UX などこだわって開発をしています。前述の学習時間を可能な限り短くしている部分もその 1 つです。
また詳細な部分では、エンドのお客様が QA で自己解決できなかった場合のログを取得しておき、それに対応する回答をまとめて作成できる機能や、まだベータ版としていますが、特定の文書から自動的に QA をペアで生成するという機能も備えています。運用する方にかかる手間を最小限にしながら、高精度な自動応答へと進化させることができます。デモをお見せすると、この部分はとても評価していただく部分ですね。
藤井: ユーザーインターフェースは初めから存在するのでしょうか? 自社サービスにどのような形で組み込むのか教えていただけますか。
佐藤: 管理者向けの UI は Web インターフェースをご提供していますので、ブラウザベースで操作可能です。また、AI のご利用については、弊社が提供する API もしくは SDK を通じて操作が可能となっています。したがって、自社サービスにシームレスに統合する形で実装していただけます。
藤井: 少し話題が変わりますが、最近の金融業界における大きなトレンドであるオープンバンキング、Embedded Finance の文脈で、貴社ソリューションは金融機関にどのような恩恵をもたらすでしょうか?
佐藤: これまでは、金融サービスが Web 化、モバイル化を進めてきた状況かと思います。この流れで、オープンバンキングという形態も進捗してきたと感じていますが、まさにこの数年において、Embedded Finance の文脈で、大きな顧客接点をお持ちのプレイヤーさんが金融サービスをバンドルして提供する流れが大きく進行しているように感じています。
この状況において、弊社の貢献ですが、金融機関さんと顧客接点を持つプレイヤーさんとの間を適切に繋ぐような立ち位置でのアクションが多数取れるかと考えています。金融商品には、たくさんの構造化、非構造化された情報が紐づきます。これらを、金融機関からプレイヤー、プレイヤーからエンドユーザーに届けるにあたって、最適な形態で情報を届けること(検索、分類、解析等など)ができると考えています。
また、これまでには構造化されたデータとしては表面化されてこなかった、金融商品の流通に係るユーザーのアクション情報を、構造化された商品開発に活用できるようなデータへと AI の介在によって、進化させることもできるのではと考えています。
藤井: まさに、Embedded Finance のトレンドにおいても貴社のソリューションはうまく活用できそうですね。日本市場における今後の計画、また日本支社の拡大予定などについて教えてください。
佐藤: 弊社は米国シリコンバレーを本社とし、米国・韓国・日本に拠点をおき事業展開をしていますが、創業時点から日本での事業展開をしていること、また日本企業様の積極的な AI 活用もあって、弊社の顧客構成で日本企業様が最大規模になっています。
上記の成果には、米国シリコンバレーの先端技術による AI 開発をすると同時に、日本企業様のためのローカライズ、カルチャライズをしっかりとさせていただいているところが効いているかと考えています。日本のお客様はフィードバックもたくさんくださり、弊社としてスタディが多いこともありますので、今後も弊社の中では最優先ドメインとして日本での展開を推進していきます。
日本支社では、上記積極展開もあり、エンジニア、セールス、カスタマーサクセスと絶賛採用中です!
藤井: ありがとうございます。最後に、日本市場におけるマイクロソフトへの期待などについて教えてください。
佐藤: マイクロソフト様には、「Microsoft for Startups」でもご支援を頂戴し、Azure 経由で弊社 AI ソリューションを SaaS 形態で提供するにあたっての環境準備にてご協力を頂戴しました。現在は、SaaS 経由だけでなく、お客様の Azure 上で弊社 AI ソリューションをオンプレミス提供するような形態も実現しています。
別の観点で、すでに Microsoft Teams については、弊社の ”Alli” において連携をさせていただき、Teams 上で Alli をご利用いただけるようになっています。米国のマイクロソフト Teams ご担当の方には、ブログ上でもこの取り組みに触れていただいています。
多数のお客様から、マイクロソフト製品と連携する形態での弊社 AI ソリューションの提供をご相談いただいております。弊社では、金融業界の DX に向けた協働プログラムである「Microsoft Enterprise Accelerator – Fintech/Insurtech」にも参加させていただいておりますので、マイクロソフトさんのソリューションと弊社の AI ソリューションとの連携によって、新しい価値、体験をお客様に届けることができればと考えています。
藤井: 本日はお時間いただきありがとうございました。ぜひ、金融業界の DX を進めていきましょう!