ビジネス部門が先導するデータベースとクラウドの活用術
ビッグ データや IoT の活用が注目されている昨今、実現可能になることと、そうではないことの切り分けがしづらいと感じることはありませんか? マイクロソフトテクノロジーセンター スペシャリスト インタビューでは、クラウドの活用方法についてご紹介してまいりました。連載ラストを飾る今回は、SQL やデータベース マネジメント プラットフォームなどを通じた、クラウド導入のメリットについて、マイクロソフトテクノロジーセンター テクノロジー ソリューション プロフェッショナル ジニアス平井に聞きます。
ビジネス部門の皆様が IT を使っていくために、何を知っておく必要があるのか? クラウドに開発環境を作ることで、どんなメリットが生まれるのか? 「ディープ ラーニングに興味があるけど、詳しくはわからない」「ビッグ データをどんな形で取り扱えばいいのか」という疑問をお持ちの皆様必見の内容です。
SQL から IoT まで多岐にわたるソリューションを提案
まずは自己紹介をお願いします。
1993 年に日本マイクロソフトに入社したので、Windows 95 がリリースされる前から働いています。入社した当時は、開発言語のサポート エンジニアとして業務に携わっていました。当時は、まだパソコン通信しかありませんでした。メールも普及していなかったので、何かトラブルがあった場合、症状を伝えてもらうのに FAX しかないのです。
その後、セールス部門の中でプリセールス エンジニアや SE 部所属を経て、マイクロソフトテクノロジーセンター (以下、MTC) へ。MTC では、SQL とデータ マネジメント プラットフォーム、アプリケーション開発、そして IoT を担当しています。
近年、ビッグ データやデータベースの重要性がよく話題にあがりますね。
ビッグ データは、データのストレージとして高速で、かつ便利なものがどうしても必要です。大量のデータを高速に処理するには、きちんとしたエンジンが必要になります。ビッグ データとして意味があるものや、ビジネスにとってメリットになるものを意識しなければなりません。最終的に会社にとってメリットがあるように活用しないといけないので、お客様もそこを課題として考えられていることが多いです。
たまったデータはどうやって使えばいい?
データの活用に関して聞かせてください。よく聞くのは、「データがたまってきたけれど、使い方がわからない」という課題です。もう 1 つ大きな課題は、「クラウドを使って新しいサービスを提供したいけれど、きっかけをつかむことができない」という部分です。
データを貯めたあとは、分析が必要です。そこで、機械学習や Microsoft Azure (以下、Azure) のマシン ラーニングが役立ちます。IoT のデータは、たとえば 1 万レコードだけ取り出してみても、あまり意味がないのですよね。IoT だと、同じデータがたまることもあります。ビッグ データと比較すると、データの質が違う。大量の同じデータが 1 万件もある場合、ある程度集約して持っておく必要があります。常に使うものではない、特質的なデータも多いです。
IoT のデータは、何か月かたつと、再度集めて移動したくなるという性質があります。それが、Azure のサービスの中で簡単にできるのです。
使ったあとは、しばらく使わずに放置しておくことが可能です。その時にコストがかからないように、サービスを停止することができる部分は、Azure ならではのメリットです。
そこがクラウドの強みですよね。オンプレミスで持っていればずっとコストがかかるけれど、クラウドであれば、使う時だけオンとオフが自在にできます。ためたデータを使う際、使い方に悩まれる方は多いですか?
多いと感じますね。社内にデータ アナリティストがいない場合もあります。マイクロソフトのソリューションを導入していただくことで、高価なソフトウェアを買わなくても、データベースの延長で分析が可能なんですよ。このメリットをお客様に紹介させていただいています。
今まで開発は、すべてコマンド ベースでやっていました。データベースに関しても、今までは知っている方が SQL を書かなければならない、または R 言語を覚えなければなりませんでした。その部分がビジュアライズされてきているのですね。
そうですね。マイクロソフトは「UI を使って簡単にさせる」ことが得意なんです。クラウドによりコストが安くなったこともあり、気軽に導入することができるのです。
現場を知るビジネス部門が分析をする時代に
データ分析は試すことが難しいため、外部に調査を出される方が多かったです。しかし、それを外部に依頼する場合、ビジネスがわからない人がやることになってしまうこともあるのですよね。そのため、ビジネス部門が率先して分析を始めるようになってきました。
高いお金を出してコンサルティングを外部に依頼するよりも、社内で解決できるものはしていこうという考えです。IT のインフラが整ってきて、ある程度余裕が生まれてきたことも関係しています。IoT や機械学習は、IT 部門の方よりも現場レベルの方々がやりたいと考えていらっしゃる場合が多いですね。
今まではスペシャリティが高い人たちが、「こうしないといけない」と考えなければならなかったですよね。それが少しずつ現場に落ちてきているフェーズにある。これにより、ビジネスのイノベーションが起きやすくなっています。
現場が一番データの意味や特性を理解しているので、分析のために IT 部門に持っていっても、どうしたらいいのかわからなくなります。たとえば、「これはなぜ不良品になるのか」とビジネス部門で考えたとき、現場では解決策が思いつきますよね。
IoT とマシン ラーニングは、「ビジネス部門のための IT」なのかもしれません。
段階的に考えるとそうなります。データの質によって変わるのですが、たとえばアクセス ログや syslog のようなインフラの分析をするのは IT 担当者です。データの質に依存しているのです。
ビジネスを始める際、現場がデータを分析できることは会社の強みになりますね。
そうですね。しかし、分析だけではなく、可視化まで持っていくことも必要とされます。MTC に来てくださるお客様には、マイクロソフトのソリューションで敷居も高くなく、かつ低コストで進められる方法を紹介しています。
ビジネスに話を戻すと、データベース自体をどうするのかというレイヤーがあり、それを簡単にしなくてはいけません。それをきちんと理解している方がやらなければいけない。ビジネス部門のみで閉じてしまうともったいないので、経営層や社内に展開するべきです。具体的にどんなソリューションで展開することができますか?
Power BI が一番展開しやすいですね。グラフィカルに見せるなど、プレゼンテーションする時のインターフェイスとして便利です。直接 Power BI にデータを出せるので、IoT との相性もよいです。Excel のピボッド テーブルの延長線のようなイメージでやることができるんですよ。
Access を使っていたような事もコードを書ければ可能ですよね。少し観点を変えた話になりますが、人工知能についてお客様から聞かれることはありますか?
あります。IoT の流れでお話しすることもありますし、社内の bot のような役割を果たすものを作りたいという声を聞くこともあります。その際は、Cortana Analytics Suite などのデモを交えながら紹介させていただきます。
たとえば、コールセンターを無人化するようなプロジェクトなどもあります。りんなのようなエンジンがほしいお客様もいらっしゃいます。ディープ ラーニングについてのご相談も存在します。ただ、ディープ ラーニングなら何でもできるイメージを持たれている方が多いので、そこは少し違うということをお話ししますね。データは質と量どちらも大切です。ディープ ラーニングだと画像の場合、何十万点レベルのデータが必要とされます。きちんとしたデータ分析のプラットフォームとして、データを整備するべきなのです。
お客様からすると、データ分析をすることにより、新しいビジネスにつなげていきたいです。それも交え、アプリケーション開発についての可能性について聞かせていただけますか?
スマートフォンやタブレットの有効活用など、次世代のアプリケーション イノベーションは、音声のやりとりや bot に関しても大いなる可能性を秘めています。お客様には、次世代のアプリケーションのビジョンを紹介し、システムの更改の際には、クラウドを使われることをおすすめしています。クラウドを開発・検証環境に使うという提案もさせていただきます。
MTC が皆様のビジネスの成長をお手伝いします!
クラウドなら、開発する場所を選ばないメリットがありますね。仮想マシンのスペックのみ上げればよいことも魅力的です。
そうですね。通常の開発の場合、最初に目安を決めてハードウェアを買います。その場合、その後の開発がそのハードウェアのスペックに縛られてしまうのですよね。クラウドで開発環境を作れば、クラウド上で大よそのステージングが終わってからハードウェアを選定すればよいのです。オーバー スペックもなく、プアでもない、理想的なシステムが完成します。
ぜひ MTC に来ていただいて、新しいビジネスの作り方や変え方について相談していただきたいです。人工知能やディープ ラーニングは、新しい機能を使うために必要ですが、マイクロソフトの事例をお話しすることで、疑問も解決することができます。
そうですね。まずは皆様のやりたいことについて、聞かせていただきたいです。ぜひ日本マイクロソフトの営業やパートナー様にご相談ください。データベースやクラウドの活用を通じて、皆様のビジネスの成長や変化をお手伝いさせていただきます。
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