この厳しい局面におけるマイクロソフトの製造コミュニティ向け支援策について
※本ブログは、米国時間 2020 年 4 月 1 日に公開された Supporting the manufacturing community during this challenging time の翻訳です。
世界中の製造業界のお客様が、原料の供給と顧客の需要の急激な変化に対応し、工場の閉鎖に対処する一方で、世界中の第一線の医療関係者のために不可欠な供給品を生産されています。当社はそれらのお客様から、新型コロナウイルス感染症 (以下、COVID-19) の大流行によってどのような課題が新たに生じているかについてお話を伺っています。
多くの製造業者は、それぞれの事業で需給の大変な混乱に直面していますが、なかには、不可欠な供給品を提供するために自社の生産やサプライ チェーン、サービスの再構成を進めている製造業者もおられます。以下にその例をご紹介します。
- 英国で航空宇宙、自動車、医療分野で工業製品、テクノロジ、エンジニアリングを手掛ける大手企業によるコンソーシアムが、共同で国民保健サービス (NHS) 向けの医療用人工呼吸器を生産 (英語) することになりました。この人工呼吸器のサプライ チェーンをサポートしているのは、Dynamics 365 Supply Chain Management です。マイクロソフトは Accenture と連携して、このサービスをわずか 3 週間で立ち上げました。
- Schneider Electric が Air Liquide、Groupe PSA、Valeo と協力して、フランスで Air Liquide Medical Systems の人工呼吸装置 1 万台 (英語) を生産することになりました。
- 世界最大の電気自動車製造会社である中国の自動車メーカー BYD が、中国全土の病院や機関に影響を及ぼしたマスクの不足を緩和するため、自社の R&D を投じて世界最大のマスク製造工場を開設しました (英語)。この工場では現在、1 日にマスク 500 万枚と消毒剤 30 万本を生産しています。
- Honeywell は自社の製造施設のベスト プラクティスと N95 マスクの不足に対応するための措置 (英語) に関する情報を提供しています。
- Rockwell Automation は、継続的なサービスで、製造業界の顧客とそのサプライ チェーンを支援するための取り組みに関する情報を提供しました。
- Siemens も中国におけるマスク生産 (英語) に最前線で対応しており、さらに COVID-19 に関する推奨事項 (英語) を製造業者に提供しています。
- Bloom Energy、Almo、およびカリフォルニア州は、米国医療制度の人工呼吸器を一新する (英語)ために協力して取り組んでいます。
- Sandvik Coromant は、人工呼吸器メーカーに精密ワイヤを供給する (英語)ために残業を続けています。
マイクロソフトは、このようなすべての素晴らしいリーダーとその革新的取り組みを称賛しています。
不可欠な製品が最も必要とされる場所に提供されるようにする
しかしながら、確認された COVID-19 のケースは日増しに増え続けていることはご存じのとおりです。世界全体の感染者数で見ると、まだ感染ピークには達していません。ピークを迎えると、設備、供給品、消耗品の深刻な不足に直面することが危惧されています。今後、そのような事態に対応するには、生産能力を 20 ~ 500 倍に拡大しなければならなくなるとの試算もあります。さらに、物品を必要なときに必要とされる場所に、インテリジェントかつ効果的に提供できる方法を見つける必要もあるでしょう。これはとてつもなく大きな課題です。
マイクロソフトでは、今後の事態に対処するための新たな革新的アイデアや計画をサポートすべく、世界中のパートナー、お客様、業界団体と議論を重ねてきました。それには、米政府から国内製造業における対応を主導する役割を任された全米製造業者協会 (英語) をはじめ、官民問わず多数のパートナーが含まれます。
COVID-19 への対応: お客様のビジネスを支えるサービスとガイダンス
上記の取り組みに加え、このような困難な時期に皆様の差し迫った優先事項やニーズに対応する上で役立つマイクロソフトの主要なリソース、ソリューション、ベスト プラクティスもご紹介したいと思います。
リモート ワークをサポート
在宅勤務が可能なエンジニア、インフォメーション ワーカー、および最前線の労働者に対して、当社は、以下のようにリモート コラボレーションと生産性の向上を実現できます。
- Microsoft Teams を利用すると、距離を感じることなく、遠隔地で業務を進めることができるようになります。10 人のチームでも 1 万人のチームでも、各自の所在地にかかわらず、すべて 1 か所でチャット、会議、電話、コラボレーションを行うことができます。Office 365 の既存のサブスクライバーであるお客様は、既に Microsoft Teams へのアクセス権をお持ちです。リモート ワークへの移行をサポートするには、今が展開に最適な時期といえます。
- 当社は、ここ数週間で得た経験から、リモート ワーク環境を最適化するための専門知識とガイダンスをまとめました。
- また当社は、自社従業員向けに作成した包括的な在宅勤務ガイド (英語) も共有し、お客様がそれぞれの組織に合わせてカスタマイズできるようにしています。
- すべての従業員に提供されるベスト プラクティスについて最新情報については、当社の Enabling Remote Work コミュニティ (英語) にアクセスしてください。
- 先進のクラウド接続管理機能を使用して、従業員 (製品と生産の変更に取り組んでいるエンジニアなど) が、仮想デスクトップ エクスペリエンスによって、あらゆる場所から Azure と Microsoft 365 (WVD) で作業 できるようにします。これにより、IT 部門はセキュアで、常に最新の生産性エクスペリエンスを提供する一方で、制御を維持できるようになります。
従業員の安全性をサポート
お客様の従業員の健康と幸福を重視し、最新のデータ、状況レポート、分析に対するアクセスを支援するために、以下を行うことができます。
- クライシス コミュニケーション アプリ (英語)を利用できます。お客様の組織が状況の変化に応じて情報共有とコラボレーションを調整できるように、アプリを速やかに構築し、実装するための手順も示されます。
- ウイルスの現状に関する最新の事実に基づく情報、統計、ニュースに対して、Bing COVID-19 トラッカーを使用できます。
- 医療機関向け Azure Maps COVID-19 オープン ソース プロジェクト (英語) を利用して、特定地域に合わせてカスタマイズされたお客様独自のデータを使い、独自のダッシュボードを構築できます。
最前線で働く従業員とお客様に対するリモート支援をサポート
引き続き製造の最前線で必要とされる労働者をリモートに支援すると共に、お客様の業務をサポートするために、マイクロソフトと、Blue Prism、PTC、RealWear、Tulip などのパートナーは、COVID-19 に関する活動で貢献されているお客様向けに以下のようなプログラムを発表しました。
- Dynamics 365 Customer Service。コンタクト センターのスタッフがリモート ワーク時にもパーソナライズされた一貫性のあるサポートを提供できるように支援しています。お客様は、サポート案件の量に関するトピックへの洞察が得られる機能を利用して、担当者がチャネル全体でうまく配置されるようにすると共に、最も多い問い合わせに対応できるようトレーニングされたチャットボットを素早く展開できるようになります。
- Dynamics 365 Remote Assist。フィールド サービス技術者やエンジニアがさまざまな場所から同僚や専門家とコラボレーションできるようになるため、移動が減り、誰もが直面する差し迫った障害のいくつかが解消されます。Dynamics 365 Customer Service や Dynamics 365 Remote Assist は、マイクロソフトが提供するテンプレートかカスタム実装かにかかわらず、COVID-19 に対応してソリューションを導入する場合に、最大 6 か月間無料でご利用いただける可能性があります。
- 製造業者によって実施されている作業の予測可能性と信頼性を高めるために、Blue Prism COVID-19 対応プログラムは、重要なビジネス継続性の維持を支援すべく、ロボティック プロセス オートメーション (RPA) リソース向けにアプリケーションを活用しています。
- 製造部門とサービス部門の従業員にテクニカル サポートを提供するために、PTC は 6 月まで Vuforia Chalk 拡張現実 (AR) を利用したリモート サポートとコラボレーションのテクノロジを自社のお客様とパートナーに無償で提供しています。
- RealWear は、中国の医療活動に対して自社のヘッドセット テクノロジを提供 (英語) し、最近、Microsoft Teams との統合 (英語) を発表しました。これにより、産業労働者は、世界中のどこにいるかにかかわらず領域の専門家とリモートに協働しながら、複雑な作業手順のために両手を使うことができるようになります。
- Tulip は最近、COVID-19 との戦いに参加しているあらゆる製造業者やオープンソースの製造活動に対し、サポートを提供すると共に、製造向けアプリケーション プラットフォームの無償利用を提供する (英語) と発表しました。同社は、製薬業界の顧客のほか、自工場を医療用品の製造に転用しようとしている企業と積極的に連携しています。その狙いは、リモート ワークの実現、臨床試験および生産に対する GxP/GMP のサポート、Tulip を利用した生死にかかわるケースの軽減、群衆管理、トリアージ、そして、コード不要のアプリ ビルダーやテンプレートを使った新規製造ラインの迅速な増設にあります。
これらは、マイクロソフトと当社のパートナーが各コミュニティの健康と安全性をサポートすると共に、お客様がビジネス継続性を確保し、リスクを軽減できるようにするための支援を提供する取り組みのほんの数例にすぎません。
マイクロソフトの最新情報、アップデート、リソースについては、Responding to COVID-19 togetherをご覧ください。 LinkedIn における Satya Nadella の最新の投稿で、現在の見解とマイクロソフトが従業員、お客様、パートナー、コミュニティの支援にどのように取り組んでいるかに関する説明をお読みください。
個人的には、「私たちは皆、経験したことのない状況を乗り切ろうとしている」と言うのは、控えめな表現だと考えています。全員がグローバル コミュニティとしてこの状況に直面し、日々目前の危機から学んでいるのです。私は、このパンデミックに対するソリューションを求めて、マイクロソフト、お客様、パートナーが、業界、企業、政府機関、医療機関などの垣根を超えて協力し、必要な情報の提供、支援、保護、貢献に役立つテクノロジを結集すると同時に、一丸となって進展を加速させようとする素晴らしい取り組みにとても感銘を受けています。
皆様にはぜひ、マイクロソフトがこの困難な状況下でお客様とお客様のビジネスを支援すべく耳を傾け、学び、当社ができることはすべてするために存在することをお伝えしたいと思います。