thyssenkrupp、より良い未来を 目指しデジタル変革を推進
※本ブログは、米国時間 2019 年 7 月 27 日に公開された ”thyssenkrupp embraces digital transformation for a better future” の抄訳 (しょうやく) です。
テクノロジが猛スピードで進化し、多くのメーカーがその対応に追われています。しかし、イノベーションを即座に生み出せない企業は悲惨な状況に置かれ、存続の危機に瀕しています。
thyssenkrupp AG は、現代の製造においてテクノロジが担う重要な役割を十分に理解しています。
そのため、同社は 6 年前に徹底したビジネスの変革に乗り出し、顧客により大きな価値を提供して競合他社からの差別化を図るためのさらなる効率化に向け、取り組みを開始したのです。
現在のテクノロジの粋を集めることで、同社はまさに求めていたもの、すなわち、プロセスの最適化、従業員の生産性向上、資産の信頼性強化を達成しました。そして、これらの改革を合わせて進めることで、業界リーダーとしての地位を確立したのです。
しかし、同社はいったいこのような状況を一変させる取り組みをいかに開始したのでしょうか。また、その過程で何を達成したのでしょうか。
変革に向け道筋を描く
thyssenkrupp は、デジタル変革を前進させる前に 2 つの作業をする必要があること認識していました。
まず、目標達成までの道筋を描くことです。そのために、変革に向けた取り組みを以下の 3 段階に分けました。
- 電子化: デジタル化の基本として、アナログからの移行が欠かせません。紙ベースの情報を電子データに変換する必要があります。
- デジタル化: デジタル化では、従業員が信頼できる唯一の情報源にアクセスして、実践的な意思決定を下し成果を達成するためのデータをリアルタイムで利用できるようにすることが最も重要になります。またこれは、プロセスの最適化や、意思決定の効率化にもつながります。
- デジタル変革: これが最終的な目標です。この目標を達成するということは、すなわち、新たなビジネス モデルをベースとする、あるいは既存のビジネス モデルを顧客、従業員、あるいは利害関係者により大きな価値を提供するものに変えるということです。
次に、thyssenkrupp が認識していたのは、自社の取り組みをサポートするテクノロジ企業と提携する必要があるということです。そこで同社は、継続的なイノベーション文化の構築を支援するパートナーとしてマイクロソフトを選びました。
世界的メーカーである同社がテクノロジ企業であるマイクロソフトとの連携を開始してすぐに、同社にはビジネスの改革に役立ち、成功の鍵となる幅広いテクノロジが導入されました。
必要な手順を計画すると共に、マイクロソフトと提携して最新の最先端イノベーションを利用することで、thyssenkrupp は以下の能力を獲得しました。
- リアルタイムの資産データを取得し、障害を予測して防ぐ
- 従業員が即座に実践的な意思決定ができる力をつける
- より質の高い製品をより早く提供し、カスタマー エクスペリエンスを向上させる
- 現行のビジネス モデルを見直し、新たな収入源を生み出す
変革しながら学び、さらなる成功を目指す
言うまでもなく、デジタル化への道のりには障害がつきものです。thyssenkrupp ほどのリーダー企業であっても、その過程で紆余曲折を経験しましたが、同社がその使命から逸脱することは決してありませんでした。それどころか、失敗から学んだのです。
パイロット プロジェクトが当初目標に届かなくても、thyssenkrupp はすべてを諦めることはなく、むしろ、一歩下がって次のような疑問を提起しました。
- 目標に届かなかった原因は何か
- プロジェクトをよりビジネス モデルに沿ったものにするにはどうすべきか
- プロジェクトで意図した目標のいずれかを達成したか
こうした疑問を常に提起し、教訓を生かすアプローチをとり続け、同社は正しいコースを積極的に進むことができました。
そして、いくつかのプロジェクトを完了した頃には、うまくいったこととそうでないことをより深く理解できるようになっていたため、過去の難局で経験した挫折の多くを回避し、成功の勢いに乗ることができたのです。
イノベーションの恩恵を得る
thyssenkrupp が最近達成した多くの輝かしい業績の中心には、イノベーションがありました。
2013 年には、同社のエレベーター部門である thyssenkrupp Elevator が、IoT と Mixed Reality を利用することで成功し始めました。これらのテクノロジを社内に取り入れることで、メンテナンス コストを削減し、点検のパフォーマンスを高め、全体的な資産の信頼性と稼働時間を向上させたのです。
thyssenkrupp はほかにも、身体的制約のある人々がホーム モビリティの問題を克服できるよう支援するため、Mixed Reality を採用。ウェアラブル デバイスを使用することで、階段昇降機の設計、製造、設置をより早く効率的に行うことができるようになり、納期が 4 分の 1 にまで短縮されました。
また、米カリフォルニア州ポーウェイの倉庫では、thyssenkrupp の BILSTEIN Shock Absorbers 部門が従業員による顧客注文のピッキング、梱包、出荷工程の変革を実施。Mixed Reality テクノロジによって、生産性を高め、受注処理精度を向上させるためのツールを従業員に提供し、従業員 1 人あたり 30% の効率化を実現しました。
そして、thyssenkrupp Elevator は、ドイツのロットヴァイルにある自社のイノベーション テスト タワーを、デジタル ツイン テクノロジを利用してデータに基づく洞察をもたらす豊かなエコシステムに変えました。
エレベーターはもとより、冷暖房や換気など、ビルの物理システムの仮想モデルを作成することで、ビルの所有者や資産運用の担当者がそれらの運用性能を分析して最適化できるようにしたのです。これが、ビルのテナント、従業員、訪問者の体験の向上につながっています。
未来の工場を実現する
同社が達成した成果のなかには、その事業部門の 1 つである thyssenkrupp Aerospace が最先端テクノロジを多数利用して未来の工場を実現した例があります。
自社の機械をデータ収集用 IoT センサーと接続すると共に、他のテクノロジを施設内に導入することで、円滑な生産の進行を可能にしたのです。
thyssenkrupp Aerospace は、ソーブレードに摩耗の兆候が見られた時点で修繕や交換を行うことができるため、長時間にわたってオフラインにする、コストの高いプロセスを回避できます。
しかし何よりも重要なのは、最新のハイテク ツールを採用することで、同社の従業員がこれまで以上に業務を迅速かつ効率的に進めることが可能になったことです。
音声操作による仮想アシスタントを共有コミュニケーション プラットフォームと組み合わせて利用することで、プロセスの最適化、ワークフローの簡素化、コラボレーションの強化を果たし、結果として、より良いカスタマー エクスペリエンスをより安全に提供できるようになりました。
たとえば、地上待機中の航空機に何らかの部品が直ちに必要になった場合でも、従業員がより簡単に連携して必要なアイテムを即座に届け、速やかに乗客を空へと送り出すことができます。
thyssenkrupp の事例からヒントを得る
デジタル変革への道のりは長く、一度で終わるプロジェクトではありません。困難なプロセスになることもありますが、thyssenkrupp は、顧客価値の創出と、テクノロジ パートナーとの新たなかかわり方を受け入れることに重点を置くことで、メーカーが現状を本当に変えることができると学びました。
最終的には、多くの企業がデジタル変革には取り組む価値が十分にあることに気付きます。thyssenkrupp はその一例で、6 年にわたる変革の中で、従業員の生産性向上、資産運用の効率化、より高い顧客価値の提供において、大きな利益を得てきました。
製造業界をリードする企業がイノベーションを取り入れ、業績を上げた事例を参考にすれば、自社の取り組みを実行に移すことが格段に容易になるでしょう。
詳細については、thyssenkrupp のデジタル変革への挑戦に関する記事をご覧ください。
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