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業界

風力、AI、クラウドで作る持続可能な未来 – Siemens Gamesa Renewable Energy

写真: モロッコの風力タービン

※本ブログは、米国時間 2019 年 3 月 28 日に公開された ”Siemens Gamesa Renewable Energy creates a more sustainable future with wind power, AI and the cloud” の抄訳 (しょうやく) です。

高さ 120 m (390 フィート) のタワーと、22 階建てのビルに相当する長さのブレードを持つ産業用風力タービンは、その検査と保守が課題となっています。
従来、風力タービンのブレードの検査では、遠隔地 (時には海上) にある停止したタービンを技術者がロープを伝って下り、ブレードの亀裂や不具合を写真に収めることが必要でした。もしくは、地上から望遠鏡とカメラを使って写真を撮ることもありました。そうした作業は多くの場合、時間がかかる上に、困難なものです。

しかし 1 年半前、風力発電産業のグローバル リーダーである Siemens Gamesa Renewable Energy は、自立飛行ドローンとデジタル ソリューション「Hermes」を使って、この検査プロセスを変革しました。ドローンが空から高解像度の画像をすばやく捉え、Hermes が撮影された画像を分析し、ブレードに損傷がないかを調べることで、一段と安全で、迅速、正確な検査が可能になりました。

スペインに拠点を置く同社は、このソリューションを Microsoft Azure に移行し、Azure AI と統合して画像認識を処理することで、さらなる改善を進めています。このようなデジタル面の強化によって、Siemens Gamesa はブレードの検査をさらに合理化することができ、再生可能エネルギーをより安価に提供し、未来をより持続可能なものにするという同社のミッションを推進しています。

写真: ノルウェーにある Siemens Gamesa の風力タービン

ノルウェーにある Siemens Gamesa の風力タービン

「Hermes はマイクロソフトとのコラボレーションによって飛躍的に前進しています」と Siemens Gamesa のサービス チーフ デジタル オフィサーの Christian Sonderstrup 氏は述べています。Siemens Gamesa はこれまでに 90 か国で風力発電テクノロジを実装しています。「AI やクラウド、ビッグ データによって、イノベーションおよび再生可能エネルギーの均等化発電コストの削減という点で、パフォーマンスを次のレベルにまで引き上げることが可能になっています」。*

今年タービン 1,700 機の検査を行うドローンは、仕事の速い精密な写真家でもあり、1 つのタービンの 3 枚のブレードの 画像約 400 枚を 20 分で撮影します。撮影された画像を使ってブレードの状態や必要とされる修理の概要が検討されますが、大量の画像を手作業で分類し、つなぎ合わせる必要があることが課題となっていました。最近、10 万枚の画像を含む大規模な検査プロジェクトが行われた際に、これが非常に手間のかかる作業であることが浮き彫りになっています。

「画像の一枚一枚すべてを調べる担当者を置き、発見された深刻な不具合はすべて技術者によって再度評価される必要がありました」と、Siemens Gamesa のブレード プログラムにおける製品完全性および保証管理担当マネージャーである Anne Katrine Karner-Gotfredsen 氏は語ります。

画像を取り扱う過程を Azure AI サービスと統合することで、その画像認識能力を使って複数の画像を 34 秒でつなぎ合わせてローター全体の正確なモデルを合成できるようになるなど、作業が大幅に短縮されました。手作業による合成で同じ仕事を行えば、4 ~ 6 時間かかり、エラーが発生しやすくもなります。AI ツールはブレードを水、空、その他の関係のない要素から識別し、亀裂や不具合を鳥の糞などと区別し、ドローンの場所とカメラ ズームのデータを統合して正確な合成を行い、見つけた不具合をその種類と深刻さによって分類することができます。

「すべての写真を確認することは膨大な仕事です」と Karner-Gotfredsen 氏は言います。「Hermes 以前は、すべてのデータを分類し、誰もがアクセスできる 1 つの場所に保存することは、非常に面倒な仕事でした。作業を自動化すればするほど、データを使って仕事をすることが容易になります」。検査をより迅速かつ正確に行うことは、タービンのダウンタイムの短縮、不具合の早期検出、予測メンテナンスの向上、コストのかかる修理の減少につながり、結果的により安価な風力エネルギーの実現に寄与します。

写真: 英国にある Siemens Gamesa の洋上風力タービン

英国にある Siemens Gamesa の洋上風力タービン

Karner-Gotfredsen 氏にとってクラウドは、同氏が去年担当したプロジェクトのような、顧客が複数の風力発電所を検査するプロジェクトで、その内容を最適化するのにも役立ちます。Siemens Gamesa、顧客、およびサードパーティーの評価機関の間でデータを共有することは難しく、そのため Karner-Gotfredsen 氏はデータをハード ドライブ上で何度も送受信することに加え、電子メールで扱いにくいスプレッドシートをやり取りすることを余儀なくされました。

「今ではデータがクラウドで直接 Hermes に送られ、ハード ドライブを持ち運ばなくて済み、データは自動的に分類・合成されるので、多くの労働時間を節約できています」と同氏は語ります。「AI は当社の社員が行っている仕事を補強し、社員がコア コンピテンシーに集中することを可能にしています」。

AI を活用したブレード分析は、顧客のタービンの完全な 360 度のデジタル カバレッジを提供するという Siemens Gamesa の目標の一部でもあります。さらに、それは生産性、現在のビジネス オファリングのデジタルの拡張、および新しいデジタル ビジネスに焦点を当てたデジタル戦略の一部ともなっています。この戦略を推し進めるにあたり、Siemens Gamesa はスケーラブルで堅牢かつ洞察に満ちた新しいイノベーションを開発するための IT 基盤として、Microsoft 365 と Azure を使用しています。

「私たちは再生可能エネルギーのデジタル リーダーとなることを目指しています」と Sonderstrup 氏は語ります。「AI、クラウド、ビッグ データにより、その取り組みが可能になります」。

* エネルギーの均等化発電コストとは、資産の生涯コストを生産される電力量で割ったものです。
上部の写真: モロッコにある Siemens Gamesa の風力タービン (すべての写真は Siemens Gamesa Renewable Energy の提供)

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