社内の Microsoft Azure 使用状況を追跡してマイクロソフトのカーボン フットプリントを削減
本ポストは以下の記事の翻訳です。
Reducing Microsoft’s carbon footprint by tracking internal Microsoft Azure usage
2021 年 1 月 19 日 | Aleenah Ansari
持続可能性に熱意を傾ける Paul Rojas は、マイクロソフトのチームが Microsoft Azure の使用によるカーボン フットプリントを追跡するためのダッシュボードを開発しています。Rojas はマイクロソフトの Azure 最適化チームのプログラム マネージャーです。(写真提供: Paul Rojas | Showcase)
編集者注: このブログ記事は新たに動画を追加して再投稿されたものです。
仕事をするときも自発的なプロジェクトに取り組むときも、Paul Rojas は持続可能性を常に念頭に置いています。
「生まれた日から人生の終わりまで、私の行うことはすべて環境に影響を与えます。仕事についても例外ではありません」と Rojas は言います。
また Rojas は Microsoft Core Services Engineering and Operations (CSEO) の Azure 最適化チームのプログラム マネージャーとして、自社のミッションも心に留めています。
Rojas はこう述べています。「マイクロソフトのミッションは、地球上のすべての個人と組織を支援することです。持続可能性は、あらゆる人がより多くを達成できるようにするという当社のミッションの中核的な柱です。」
総体的にいうと Microsoft Azure を通じてクラウド上でサービスを運用する方が、物理的なデータセンターを運用するよりも環境に優しいと Rojas は指摘しています。またクラウド上でも、マイクロソフトの開発者は Microsoft Azure のインスタンスやテスト環境を容易に立ち上げ、稼働を維持することができています。
Azure 上のシステムの設計とアーキテクチャを最適化できるよう社内チームを支援したいと考えています。それにより当社の電力使用量とカーボン フットプリントが削減されるでしょう。
– Jonathan Bradshaw、シニア プログラム マネージャー、Microsoft Core Services Engineering and Operations
Jonathan Bradshaw は、金銭面でのコストと環境へのコストの両方が存在すると指摘しています。
「クラウド移行によって電力使用量やカーボン インパクトに対する意識が薄れています」と、CSEO のシニア プログラム マネージャーである Bradshaw は言います。「私たちはメモリとストレージを大量に使用する多くのシステムをボタン 1 つで構成できます。クラウドの使用によるカーボン インパクトの存在を認識することが重要です。」
さらに、プロジェクト開始時に選択するクラウドベース サービスによっては、別のサービスを選択した場合よりも、長期的な炭素排出量や Microsoft Azure の費用が大幅に増えてしまうことがあります。
Bradshaw はこう述べています。「プロジェクトを開始する際に、2 つのクラウド サービスの候補からある 1 つを選ぶことで、長期的なストレージ費用が大幅にかさむ結果となる場合があります。私たちは、Azure 上のシステムの設計とアーキテクチャを最適化できるよう社内チームを支援したいと考えています。それにより当社の電力使用量とカーボン フットプリントが削減されるでしょう。」
マイクロソフトが 2030 年までにカーボン ネガティブを実現するというコミットメントを発表したとき、Rojas はすでに、社員がカーボン フットプリントを把握できるよう支援したり、コミットメントの達成に向けて取れるステップを社員と共有したりできそうなツールを開発している最中でした。
Rojas は現在の職務の中で、Microsoft Azure の使用状況を追跡できるよう CSEO 内のチームを支援し、支出を削減する方法を提案しています。また、チームの Microsoft Azure の使用に伴うカーボン フットプリントを追跡するためのダッシュボードも開発しています。現在、CSEO が Microsoft Azure 上の仮想マシンを使用することで生じるカーボン フットプリントは、1 か月あたり 12 トンです。
私たちは社員に、コストと使用量の観点から Azure の使い方を認識してほしいと思っています。そうすれば、社員はこう自問できるはずです。「現時点における私の Azure の使い方は、どのくらい環境に影響を与えているのだろう。私は自分の Azure サブスクリプションを最大限効率的に使用しているだろうか?」
– Paul Rojas、プログラム マネージャー、Microsoft Core Services Engineering and Operations
では、この数字を減らすためにチームが取れる最初のステップは何でしょうか。
それは、認識することです。
Rojas はこう述べています。「Azure の使用状況を認識することで、より優れたデータ センターの設計や、カーボン フットプリントの削減が可能になります。CSEO では、使われていない仮想マシン ストレージによって 0.5 トンの炭素排出量が生じています。この分はお客様に還元し、コストを削減して環境にプラスの影響を及ぼせるはずです。」
Sustainability starts from within: Reducing Microsoft’s carbon footprint with Microsoft Azure (社内から始まる持続可能性: Microsoft Azure に関わるマイクロソフトのカーボン フットプリントを削減) – YouTube
この動画では、Rojas と Bradshaw がマイクロソフトでどのように持続可能性を推進しているかが紹介されています。2 人はその目的のために Microsoft Azure の過剰な使用量を削減しており、他のチームにも同様のことを行うよう促しています。
Rojas はまず、従業員が自身の Azure 利用によるカーボン インパクトについて理解しやすくなるよう、その量を換算し、多くの人の心に響く表現にして伝えました。
「私は炭素排出量の月次合計を示す際、特定のチームのクラウド使用量を炭素のトン数に換算しています」と Rojas は言います。「カーボン インパクトについて従業員により明確に理解してもらうため、米国の 1.3 エーカーの森林が 1 年で大気中から除去できる炭素量は 1 トンであると説明しています。」
Rojas は Azure クラウド サプライ チェーン持続可能性チームの主席プログラム マネージャーである Robin Smith を紹介されました。Smith は Microsoft Azure 関連の持続可能性に注力しており、すでに Microsoft Sustainability Calculator を開発していました。このツールは、外部のチームや企業が自分たちの Microsoft Azure サービスによる炭素排出量を追跡するために使用できます。Smith は自分のチームの炭素要因データに対するアクセス権を Rojas に与えることができました。Rojas はこれを利用して、CSEO の炭素使用量のトン数を追跡しました。
Bradshaw は次のように述べています。「このデータを可視化する必要があることは分かっていました。システムをクラウドで運用する社員が、そのシステムのカーボン フットプリントを把握できるようにするためです。」
このデータを得た Rojas は、Microsoft Power BI と Microsoft Azure Data Explorer を利用したダッシュボードを作成しました。そのダッシュボードでは、あらゆる CSEO チームの Microsoft Azure 使用によるカーボン フットプリントが個別にマッピングされます。
「私たちは社員に、コストと使用量の観点から Azure の使い方を認識してほしいと思っています」と Rojas は言います。「そうすれば、社員はこう自問できるはずです。『現時点における私の Azure の使い方は、どのくらい環境に影響を与えているのだろう。私は自分の Azure サブスクリプションを最大限効率的に使用しているだろうか?』」
[こちらのケース スタディでは、マイクロソフトがどのように機械学習を使ってスマート エネルギー ソリューションを開発し、自社のエネルギー消費量を削減しているか紹介しています。]
最初の時点から持続可能性を優先
クラウド最適化プロジェクトを 1 つずつ遂行していく Rojas の環境保護の取り組みに、Bradshaw は関心を寄せるようになりました。Bradshaw は自分が行う Microsoft Azure の設計上の選択によって地球にどのような影響が及ぶかを学習している最中であり、その情報をアイルランドにおけるマイクロソフトのカーボン フットプリント削減に活かしたいと考えていました。
Bradshaw はこう言っています。「私がある設計上の選択をした場合、サービス終了時までのカーボン インパクトはどの程度になるでしょうか。別の選択をした場合はどうでしょうか。私はカーボン フットプリントをサービスのレベルで測定し、それについて何らかの措置を講じられるようにしたいと考えています。」
企業はマイクロソフトの炭素排出量削減の取り組みを認識します。率先して模範となることで、私たちはお客様に同じモデルの導入を促すことができます。
– Robin Smith、主席プログラム マネージャー、Azure クラウド サプライ チェーン持続可能性チーム
長期的には、Azure の使用状況に意識を向けることでマイクロソフトの持続可能性目標にどう貢献できるかについて、社員を啓蒙し続けていきたいと Rojas は考えています。
「クラウド上のサービスを立ち上げるときは、開発時から廃止時までに生じる影響を知っておくべきです」と Rojas は言います。「私たちは自社が生産する新デバイスのカーボン フットプリントをマイクロソフトの社員が追跡できるようにすることを目指しています。今回のダッシュボードの作成と共有は、それに向けた最初のステップです。」
マイクロソフトや他の企業が炭素目標の達成に努めていることから、Smith は Azure の持続可能性の支援に向けて行われている取り組みに希望を抱いています。
「炭素排出量の透明性に向けた私たちの取り組みにより、好循環が始動します」と Smith は言います。「企業はマイクロソフトの炭素排出量削減の取り組みを認識します。率先して模範となることで、私たちはお客様に同じモデルの導入を促すことができます。」
Microsoft Azure による持続可能なクラウド インフラへの移行について、詳しくはこちらをご覧ください。
[こちらのケース スタディでは、マイクロソフトがどのように機械学習を使ってスマート エネルギー ソリューションを開発し、自社のエネルギー消費量を削減しているか紹介しています。]