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リモートワークで家庭がぎくしゃく!? サテライト オフィス活用のススメ

2021 年 7 月 12 日

新型コロナ対策と働き方改革という 2 つの文脈で浸透しつつあるリモートワーク。ところが、家庭事情により在宅勤務に限界を感じているワーカーも少なからず存在していることは確か。本コラムでは、そんな課題を解決するひとつの手段として注目を浴びているサテライト オフィスについて述べていきます。

1. リモートワークの概況

まずは、リモートワークがどれだけ浸透しているか、働く人、企業の意識はどのようになっているかを整理しておきたいと思います。

1-1. リモートワークを続けたいと考える社員たち

2005 年、産官学が集まり設立した「テレワーク推進フォーラム」が中心となり。政府主導でリモートワークが推進されました。ところが、当初はなかなか浸透せず、リモートワークという言葉の存在すら知らない人が多かったというのが実態。国土交通省が実施している「テレワーク人口実態調査」によると、2016 年の時点でリモートワークを知っている人はわずか 18.5%。ところが、2020 年になって新型コロナが蔓延し、民間企業が一気にリモートワークを導入しはじめたことで、認知度が 67.9% まで高まりました。

ところが、メディアなどを通じて「リモートワーク」という言葉の認知は高まったものの、実際にリモートワークを導入しているかどうかは別問題。2021 年 3 月に国土交通省が発表した 2020 年度の「テレワーク人口実態調査」の結果によれば、2020 年 4 ~ 5 月の緊急事態宣言時は全国で 20.4%、解除後は 16% 台に下落しました。

また、厚生労働省が公表する「テレワークの労務管理等に関する実態調査」によると、リモートワークを続けたい、拡大したいと答えた社員は 87%、企業は 44% に。この結果から、社員はリモートワークのメリットを理解し、続けたいと思っているものの、企業がそれに追いついていないという実態が見て取れます。

1-2. リモートワークの浸透による企業側のメリット

確かに、社員のほうがリモートワークのメリットを実感しやすいのは確かです。在宅勤務が可能になることで、通勤時間が削減されます。しかも、リモートワーク導入によって非生産的な業務が見直され、無駄な仕事もぐっと少なくなり、大切な家族やパートナー、友人と過ごす時間であったり、育児や介護、自己啓発に充てる時間も格段に増えました。政府が数年前から推進していたワーク・ライフ・バランスが、皮肉にもコロナ禍によって実現したかたちです。

もちろん、リモートワークの浸透は企業にも一定のメリットをもたらせます。交通費やオフィス賃料などの固定を削減するだけでなく、何よりも社員にとって働きやすい職場環境を実現することで、満足度もあがり離職率の低下にもつながります。

2. リモートワークの課題

社員にも企業にも一定のメリットをもたらせたリモートワーク。ところが在宅勤務によって、家庭内で新たな問題が生じているという話を聞くように。その実態について解説します。

自宅のテーブルで仕事をする父親と後ろで子どもを抱きかかえる母親

2-1.「コロナ離婚」をする夫婦が増えている?

昨今、新型コロナウイルス蔓延による外出自粛によって「コロナ離婚」をする夫婦が増えているという報道があります。主な原因は、夫婦や家族で過ごす時間が増え、喧嘩や DV が発生しやすくなったというもの。経済的な不安も後押しをしているのでしょう。

もちろん、在宅勤務だけが直接的な原因になっているわけではないにせよ、これまで別々に過ごしていた日中の時間を夫婦一緒に過ごすことになり、イライラしたりストレスを感じてしまったという人も一定数います。例えば、“お互いがお互いを監視しているような気がして、ストレスを感じるようになった”という声があったり、“価値観の違いを実感した”という人もいます。

2-2. 夫婦ともに在宅勤務というケースにおける問題

このようなメンタル的な課題もさることながら、夫婦共働きの場合、2 人がリモートワークとなったことで、物理的な問題も生じています。リモートワークには IT 環境、机・椅子が必要ですが、それらを共有する不便さがあげられます。例えば、同時にリモート会議の予定が入ったら、環境のよいリビングのテーブルを取り合うことになったり、お互いの声が気になってしまうという問題も生じています。

お子さんがいる家庭では、“子どもと一緒にいられる時間が増える”と喜んでいる一方で、いくつもの課題も生じています。Web 会議の途中で可愛い姿が映り込んでしまったり、お父さんやお母さんと遊びたいという一心で、話しかけてくることもあります。

リモートワークが導入されたばかりの頃には、このような可愛いトラブルが多発していました。社内ミーティングであればまだしも、社外の人と接する場合には、笑って済ませるわけにはいかず、ミーティング中にもひやひやしてストレスを抱えてしまいます。

こういったトラブルを回避したいと思っても、住宅事情によってはどうにもならないケースがあります。せっかくワーク・ライフ・バランスが実現できるはずのリモートワークで家庭不和が起こってしまったら、まさに本末転倒。対策はあるのでしょうか。

3. 利用価値が高いサテライト オフィス

リモートワークによる家庭不和を解決する手段としてお勧めしたいのがサテライト オフィスの活用です。本章ではサテライト オフィスとはどういったものか、どのように活用するのかについて解説していきます。

3-1. サテライト オフィスとは?

厚生労働省は、リモートワークを「情報通信技術 (ICT = Information and Communication Technology) を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。すなわち、本拠地のオフィスから離れた場所で、ICT をつかって仕事をするということなので、必ずしもそれは在宅勤務だけでなく、移動中や出先で働くモバイル勤務、本拠地以外の施設で働くサテライト オフィス勤務もリモートワークとみなされます。

本拠地を中心としてみた時に、衛星=サテライトのように存在するオフィスという意味から名付けられたサテライト オフィスですが、それはコロナ禍以前から、自由に働ける場所を増やすことで多様な働き方を実現するという、働き方改革の一環として政府主導で推進されていました。

3-2. サテライト オフィス急増の背景

当初のサテライト オフィス活用価値については、通勤時間と交通費の削減が考えられていました。本来の勤務先よりも近いサテライト オフィスを選べば、金銭的な負担を軽減できますし、交通費だけでなく時間の節約にも効果的です。通勤ラッシュ時には公共交通機関も道路も混雑するため、満員電車や渋滞によるストレスを軽減。業務の効率化にもつながります。

国土交通省が 2016 年に実施した調査によると、共用型のサテライト オフィスは、全国で 1904 か所にも上っています。そのうち東京都に 624 か所、政令指定都市に 622 か所が集中していますが、他にもコロナ禍以前から総務省や国土交通省が地方創生を目的としたサテライト オフィスの地方誘致に力を入れてきました。特にコロナ感染が拡大してからは、地方分散や移住を目的に、その動きをさらに活発化させています。

もちろん、民間企業の中でもサテライト オフィス導入の気運が高まっています。2020 年度には、企業によるリモートワーク推進が一気に進み、在宅で働く人も増えました。ところが、その一方で家庭の事情によって自宅で仕事ができない、仕事場所があった方が生産性が上がるなどの声もあがっていたのは確か。その声を受けて、社員が働きやすい環境を作ることが生産性の向上にもつながるため、地方や郊外にサテライト オフィスを設置する企業も急増しました。

3-3. サテライト オフィスの種類

地方都市の

サテライト オフィスは、設置する場所によって「都市型」「地方型」「郊外型」の 3 つに分類されます。

「都市型」サテライト オフィスは、その名の通り都市部に設置されるもの。地方に本社を置く企業が設置するケースも多くありますが、営業担当のスタッフがサテライト オフィスを拠点に置き、本社には月に数回戻るといった利用法があります。

「地方型」は、都市部に本社がある企業が設置します。出張時の拠点として活用したり、支店開設の準備期間に利用します。地方における事業拡大を目的に使用されます。また、都心部で働いていた社員が地方に移住することで、ワーク・ライフ・バランスを実現することも可能になります。国や地方自治体も地方型のサテライト オフィスの設置には前向きなので、様々な支援制度が存在しています。

「郊外型」サテライト オフィスは、その名の通り郊外に設置するもので、主に社員の通勤時間の短縮や移動コスト削減を目的に活用されます。コロナ禍においては、この「郊外型」サテライト オフィスに注目が集まりました。

また、立地だけでなく、運営形態によって分類されることもあります。その企業が占有する「専用型」と、数社が共有して使用する「共用型」です。後者はシェア オフィス、コワーキング スペースとも呼ばれ、一般的に運営母体は利用者と別な組織となります。自社の社員以外にフリーランスや個人事業主、起業家などと施設内のスペースを共有するかたちとなります。厚生労働省は、地方創生目的だけでなく、都市部のサテライト オフィス推進も積極的に行っています。例えば東京都は、都内の市町村部でサテライト オフィスを新設・運営する企業に対して補助金を支給しています。

4. サテライト オフィスの有効活用術

サテライト オフィス利用の実態と、未来について解説します。

4-1. サテライト オフィス活用は今後も加速する

これまでも述べてきたように、コロナ禍においてサテライト オフィスの利用者は急増しました。ある調査機関が公表する調査結果によると、首都圏においては、サテライト オフィスでテレワークを行っている割合は 2019 年の 5.5% から 2020 年 11 月で 15.3% へと上昇しています。また、サテライト オフィスを活用したことがある社員は、収束後も引き続き併用したいと考えているようで、コロナ危機収束後に希望する施策として、サテライト オフィス勤務をあげた割合は 35.4% となっています。

企業としても、新型コロナウイルスの問題にとどまらず、自然災害発生時の BCP (事業継続計画) 観点においても、サテライト オフィス活用にはメリットを感じているようです。また、場合によっては在宅はもちろん、カフェなどのパブリック スペースの Wi-fi 利用には、情報漏洩リスクがあるということで、サテライト オフィス活用は今後も加速する可能性があります。

4-2. 課題を解決する「Microsoft 365」

もちろん、課題もあります。オフィス ワークと違い、遠隔で仕事をしているサテライト オフィスでは、当然、コミュニケーション機会も減り、伝達不足から業務効率低下が発生する可能性もあります。さらに上司は部下の仕事を実際に見ることができないので人事評価、労務管理、勤怠管理もやりづらくなるという声もあがっています。

これらの課題を一気に解決するのが、「Microsoft 365」に代表される多機能なグループウエアです。「Microsoft 365」には、強固なセキュリティ、スムーズな情報共有機能、コミュニケーション機能など、サテライト オフィス ワークに必要な機能がすべて搭載されています。

円滑なコミュニケーションは各種コミュニケーション ツールでカバーできます。スピーディな情報の共有も“取り残されている感”を解消する重要な要素となるので、スケジュールの共有やビデオ通話も可能な「グループウエア」の導入が最適です。「グループウエア」とは、組織の中で効率的に業務を行うためのツール群です。メールはもちろん、スケジュールやタスク管理、ファイル共有などが容易に可能な「Microsoft 365」は、このグループウエアの代表格といえます。

「Microsoft 365」は、Outlook、Word、Excel などの生産性向上アプリやサービスを統合した「Office 365」に加え、Exchange Online や SharePoint Online、OneDrive for Business、Microsoft Teams など、チームやプロジェクト単位のコミュニケーションを活性化させるためのツールが含まれています。この「Microsoft 365」は、サテライト オフィス活用を含む、リモートワーク時代に最適な Office スイートといえます。

4-3. 新しいビジネスチャンスが生まれるサテライト オフィス

サテライト オフィスは、単なるコロナ対策の緊急避難オフィスではなく、誰もが自分らしい働き方を実現する場所であると同時に、新しいイノベーションが生まれる場所としても期待されています。まず、メイン オフィスでもなく自宅でもない第三の場所で、新たな発想は生まれやすいと考えます。また、共用型のサテライト オフィスでは異業種や立場の違う人たちとの出会いがあり、対話の中から新しいアイデアが生まれる可能性もあります。アフター コロナに向けて、サテライト オフィスを新しいビジネス チャンスが生まれる場所として捉えてみるのも良いかもしれません。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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