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リモートワーク時の交通費ってみんなどうしている?

2021 年 7 月 26 日

新型コロナ感染の懸念から、一気にリモートワークが浸透。通勤がなくなった、あるいは通勤回数が極端に減った従業員もいらっしゃるかと思います。会社としては、どのような変更処理を行うべきか、事例を交えながら解説します。

1. 企業が支給する交通費の種類

まずは、企業が従業員に支給する交通費の仕組みについてご説明します。

1-1. 交通費は福利厚生の一環

会社勤めをしている皆さんは、すでによくわかっているかと思いますが、ほとんどの企業が従業員に通勤手当、もしくは交通費を支払っています。ところがこの交通費支給は、労働基準法などで定められている企業の義務ではなく、あくまで企業が任意に基準を設定できる福利厚生の一種だったりします。すなわち、法律的には従業員に対して交通費を支給してもしなくても良いということです。

1-2. 交通費を支給しない会社は衰退していく

ところが、現状としてはほとんどの企業が正社員、パートナー社員も含めたすべての従業員に対して、通勤手当として定期券代金などを支給します。それは交通費を支給しないような企業は求職者から見ても魅力的には映らず、求人観点からしても不利になるという理由もあります。また、すでに勤務している社員に対しても同様です。交通費支給が福利厚生の一環だとして、福利厚生が充実していない企業ほど従業員の定着率も低くなりがちです。どのような業界においても昨今、人手不足が深刻な問題となりつつありますから、今時、交通費を支給しない会社はあり得ないといっても過言ではないでしょう。優秀な人材も集まりづらく、企業力は衰退していくばかりです。

1-3. 通勤手当と交通費の違い

実は通勤手当と交通費は、厳密に言うと性質や経理処理上の勘定科目が違ってきます。通勤手当は、従業員の通勤にかかる費用を支払う目的で支給される手当で、これは「賃金」の一部になります。一般的には公共交通機関を利用した場合の最短ルート、最低金額をベースに定期券代金を算出し、実費を支給します。マイカー通勤の場合はガソリン代や高速道路の利用料金などの実費が通勤手当として支給されるケースがほとんどです。

基本的な考え方としては、最も効率的かつ経済的に合理的な経路を従業員から申告してもらうというものです。交通費は、従業員が営業や出張などに出かける際にかかる費用を指します。これは賃金ではなく、旅費交通費もしくは出張旅費という勘定科目で経費として処理されます。ほとんどの企業が、まず従業員が交通費を立て替え、後ほど会社に請求・精算するという仕組みを取っています。また遠方出張などで金額が大きくなるときには、先に経理部門から「仮払い」という名目で現金を支給してもらい、出張が終了した後に実費精算して差額を精算します。

2. 交通費の規定の事例

企業はどのような基準で通勤費や交通費を支給しているのでしょうか。事例を紹介しながら確認をしていきましょう。

2-1. 交通費の規定内支給とは?

冒頭でも述べたように、通勤費や交通費は法的に定められた義務ではなく、支給する企業が任意に、支給する、しないも含めて考えることができます。したがって、交通費の支給基準には、その企業の考え方が色濃く表れます。基本的には、ほとんどの企業が社内基準を定め、それに従って決まった金額を支給します。この仕組みは「交通費の規定内支給」と呼ばれています。求人票の募集要項にも恐らく「交通費は規定内支給」という記載があるはずです。これは法的な基準ではなく、その企業独自の規定があるということなので、あらかじめその内容は確認する必要があります。

2-2. 交通費支給の種類

交通費支給のスタイルにはいくつかの種類があり、企業によって採用している仕組みが違います。一般的には「全額支給」「一部支給」「一律支給」に分類されます。

「全額支給」は、文字通り、通勤にかかる費用のすべてを支給するというものです。「一部支給」は、「1 日 500 円まで」「月 20,000 円まで」など、支払金額の上限が定められているものです。毎月の出勤日数が定まらないパートやアルバイト社員への交通費支給の際に用いられる方法です。「一律支給」は、日や月単位で決まった交通費が全従業員に一律に支給されるというものです。けっして全額支給されるわけでなく、交通費が安く済んだときには差額を受け取れるという一方で、不足した場合は自己負担になるというデメリットがあります。

2-3. 交通費の支給額は企業側に決定権がある

交通費の支給額は、企業側に決定権があります。従業員が採用時、もしくは転居時に申請しますが、当然、虚偽は許されません。最寄りの駅と利用する交通機関を会社側に伝えますが、当たり前のことですが企業は従業員の住所を把握していますし、今時、最短の交通ルートを検索するアプリケーションもあるので、基本、不正受給をすることはありえません。自転車を利用する場合も、きちんと会社の伝え、雨天の時などどのような基準で算出するのか、事前に取り決めておいた方が無難です。

2-4. 交通費はいつ支払われる?

通勤費に関しては、一般的には月に一回、給料日に合わせて支給されます。会社によっては定期券を支給したり、3 か月分まとめて支給するケースもあります。考え方としては、給料日までの間は、従業員が通勤費を立て替えているという立て付けになります。
出張や営業活動で発生する交通費に関しては、月に一度、給料日に併せて支給する会社、週に一度程度、精算日を設けている会社、あるいは都度精算など、様々なケースがあります。交通費が高額になる場合、ほとんどの企業が仮払いの制度を用意しているはずなので、それを活用するのが一般的です。

3. 従来の交通費精算の方法

多くの企業が採用する交通費の精算方法について調査してみました。

3-1. 交通費申請書

交通費支給の仕組みが、企業によって大きく違うのと同様、管理方法や使用するツールもまちまちです。従来は、紙の伝票を社員に記入してもらって、それをベースに総額を計算して支給。経理伝票を起票していました。営業職であれば、活動状況によっては複数回、交通機関を使用します。細かく記録をしておかないとわからなくなることもありました。多くの企業が交通費申請書という書式を用意しています。日付や訪問先、使用した交通機関、利用区間などを記載します。

3-2. 紙の運用から IT システム活用に移行

先に述べたように、複数利用すると月末の精算時に混乱もしますし、正確に記録ができないなどの課題がありました。過去には営業担当者は自分の行動をきちんと記録しておく必要がありましたが、昨今では日報システムや CRM が普及し、営業担当者の行動がしっかり記録されるようになり、行動管理もスムーズになりました。社員のスケジュールから自動的に交通費を算出する機能を持つシステムを活用する企業も増えています。また、会社によっては交通機関が発行する IC カードを支給し、半自動で交通費精算ができる仕組みを取り入れていたりもします。旧態依然とした紙の交通費申請書中心の運用から IT システム活用に移行してきた時代と言えます。

駅の自動改札機

3-3. ITシステム活用のメリット

交通費精算に IT システムを導入することで、営業担当も領収書添付ミスや記載事項の間違いなどのミスが生じづらくなり、それを取りまとめる総務や経理担当も、面倒な交通費精算業務から開放されるようになりました。
重要ではありますが、少々やっかいな作業に充てていた時間を圧縮し、その分、他の生産的な仕事に時間を回すことができるようになりました。企業側と働く側のそれぞれにメリットが生じています。

4. リモートワーク時の交通費基準

コロナ禍の影響により、多くの企業がリモートワーク、在宅ワークを採用。それに伴い、交通費の支給基準の見直しが進んでいます。

電車内でつり革につかまって上を見上げる人

4-1. 交通費支給体系を見直すタイミング

リモートツールやグループウエアを活用した在宅勤務によって、通勤する必要がなくなったことで、交通費の支給を見直す企業が増えています。先ほどの述べたように、基本的には通勤費、交通費の支給は企業側の義務ではなく、任意に設定が可能です。通勤費は税務上は賃金に相当しますが、通勤という事実がなくなれば、当然、支給をする必要はなくなります。

ところが、部署によっては出勤したり、週に数日出勤するというケースもあります。あるいは、従業員自身が出勤するか否かを自由に決めることができる会社もあります。そうなると、何となく、部署や人によって不公平感が生まれます。それは、恐らく、従業員の皆さんが、通勤費は毎月定額で支給される給与の一部と捉えているからに違いありません。従って、このタイミングで必要な分だけを支払う仕組みに変えるのがベターです。

4-2. 至急方法の変更には就業規則の変更が必要

毎日でなくても、そこそこ出勤すると実費換算で定期券代より高くなるケースも出てくると思います。そういった場合を想定し、「月〇〇日以上の出勤で定期代を支給、月〇〇日未満であれば通勤費を実費支給」と設定するのが良いでしょうし、実際に交通費基準をこのように変更している企業もあります。とにかく会社としてどのような運用ルールが必要なのか、検討するには良い機会となります。注意が必要なのは、通常勤務とリモートワークで労働条件が変わる場合、例えば、交通費を通勤手当支給から実費支給に変わる場合などは、就業規則の変更が必要になります。

4-3. 交通費以外に新たに支給されることになった在宅勤務手当

また、在宅勤務に移行したことで、交通費の見直しだけでなく、別の手当の支給を検討している企業もあります。例えば、自宅のパソコンや Wi-Fi ルーターなどを使う際に発生する電気代や通信費、細かいところでは水道代を支給する会社もあります。名目は「在宅勤務手当」として一律月額 5,000 円ほど支給し、これらの費用をカバーするという考え方です。もちろん、在宅勤務に必要なツールやグッズの購入も申請すれば会社の経費として認めるケースもあります。

5. リモートワーク時代の交通費精算

リモートワーク時代に理想的な交通費精算について考えます。

5-1. 交通費支給の課題

これまで述べてきたように、リモートワーク時代の交通費の考え方として、定額支給から実費精算に移行することが理想です。通勤手当の支給方法が変わるので、まずは就業規則の見直しが必要です。さらに、基本的な考え方を従業員に周知徹底し、不公平感やモチベーション低下を引き起こさないようなアナウンスが必要となります。

また、交通費を精算し、支給する立場にある経理部門としては、定額支給から実費精算に移行することで、処理する伝票の量が確実に増えます。通勤手当の算出においても、随時通勤経路の確認などが必要となり、経理部門の毎月の負担は大きくなることが予想されます。ここはグループウエアなどのツールを活用し、行動把握や経路検索などの作業負担を軽減させる必要があります。

5-2. 交通費精算に活用したいデジタルツール

従業員の行動把握に不可欠なのが「グループウエア」といわれるツール群です。一般的にはメールはもちろん、スケジュールやタスク管理、ファイル共有などを指していますが、このコロナ禍におけるテレワーク普及の中で、特有の業務効率の悪さを改善するツールとして注目が集まるようになりました。

「Microsoft 365」は、グループウエアの代表格として、世界中の企業に活用されています。「Microsoft 365」には、強固なセキュリティ、スムーズな情報共有機能、コミュニケーション機能など、リモートワークに必要な機能がすべて搭載されています。さらに「Microsoft 365」に含まれている「Microsoft Teams」というコミュニケーションツールを活用すれば、スピーディな情報の共有はもちろん、メンバーのスケジュールやタスク管理、ファイル共有などが容易に可能です。

さらに便利なのが、「Microsoft 365」に搭載されている、機能拡張のための専用アドオンです。Microsoft 社と公式にアライアンスを組んでいるパートナー社が提供するシステムやサービスと連携し、リモートワークの導入によって煩雑になった交通費精算業務を容易にすることができます。例えば、Suica や PASMO といった交通系 IC カードを活用した交通費精算のアプリケーションと IC カードリーダーを用いて Office 365 を連携することもできます。

このように「Microsoft 365」はリモートワーク導入によって考えられる、様々な課題を解決するために、常に進化をしています。この「Microsoft 365」は、特に中小企業にとってのビジネスインフラであり、これをベースに、様々な機能を拡充することで、これからの市場環境やテクノロジーの変化にも対応することが可能となります。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

Microsoft 365 で実現する安全・安心なリモートワークへの移行

セキュリティ対策で、いつでもどこでもデータやアプリに安全にアクセスできます。
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