リモート ワークのメリットとデメリット、課題を解決する方法とは
2021 年 6 月 30 日
2020 年からの新型コロナ ウイルス感染拡大に伴い、オフィス以外の環境で仕事をするリモート ワークという働き方が急速に普及してきました。今回は、そのリモート ワークのメリットとデメリット、主な課題とされるコミュニケーション不足の解消法について紹介します。
1. リモート ワークとは
リモート ワークとは、従業員がオフィスに出社することなく、自宅やコワーキング スペース、カフェなど の会社のオフィス以外の遠隔の場所 (remote) で業務を行う (work) 働き方を指します。
海外では、以前から主に IT 系企業で導入されているワーク スタイルですが、日本では 2019 年より始まった「働き方改革」を推進するために取り入れられてきたという背景があります。さらに 2020 年からの新型コロナ ウイルスの感染拡大により、長時間の通勤や密になりやすいオフィス環境の回避が奨励されるようになり、日本社会にも浸透しつつあります。
2. 企業から見たリモート ワークのメリットとデメリット
新しい働き方としてのリモート ワークにも、メリットとデメリットがあります。まずは、リモート ワークがもたらす企業側のメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
- 人材の確保、離職率の低下
親の介護や育児、パートナーの転勤などの事情により通勤が困難であっても、リモート ワークを導入することで雇用を続けやすくなります。また、遠距離であっても作業が可能であることから、国内外を問わず優秀な人材を採用することも可能です。
- コストの削減
通勤の必要がない従業員が増えるため、通勤定期代などの交通費を削減できます。また、オフィスで働く社員数が減るため、デスクや椅子、書庫などのオフィス家具の削減、オフィス スペースの縮小などにより固定費を抑えることも可能です。
- 事業継続性の向上
日ごろから従業員がオフィス以外の場所から働ける環境を整備しておくことで、ビジネス環境や社会情勢に急な変化が起きた際にも、安定的な事業を継続できます。たとえば、新型コロナ ウイルスなどの感染対策による環境変化や、地震のような自然災害時も持続的な対応が可能になるのです。
- 企業ブランドの向上
リモート ワークの導入は「柔軟で働きやすい職場環境を提供する企業」「先進的な取り組みをしている企業」というイメージにもつながりやすく、企業のブランド力やイメージの向上に寄与します。
デメリット
- コミュニケーション不足
空き時間の雑談やブレイン ストーミングなどの機会が少なくなるため、対話から生まれる新しいアイデアが創出されにくくなります。また、そうしたコミュニケーション不足から組織やチームの連帯感も希薄になりがちです。従業員の育成についても、オンライン会議やチャットを使ったリモート コミュニケーションでは、細かく指導できる対面コミュニケーションに比べると効率が悪くなることが考えられます。
- リモート ワーク導入コスト
オフィス以外の場所で使用する PC をはじめ、ネット環境の構築やセキュリティ対策などにコストがかかります。
- 勤怠管理が困難
同じ場所にいないため、労働時間や仕事の進捗度合いなどの実態を正確に把握することが難しくなります。そのため、リモート ワークのための勤怠管理システムの導入や就業規則などの社内規定の見直しが必要となります。
- セキュリティ対策
リモート ワークでは PC をはじめとした機器や機密情報が含まれたファイルが社外に持ち出されるため、紛失や盗難、ウイルス感染などの外部攻撃による情報漏洩リスクが高まります。そのため、セキュリティ対策や IT 機器の運用ルールの策定が必要になります。
3. 従業員から見たリモート ワークのメリットとデメリット
次に、従業員側に立った場合のリモート ワークの主なメリットとデメリットを紹介します。
メリット
- 通勤の必要がない
毎日通勤する必要がなくなるので、通勤に使っていた時間を他の仕事や休息に使うことができます。通勤による疲労やストレスも軽減されるでしょう。
- モチベーション、生産性の向上
自分好みの環境で仕事ができるので、モチベーションが上がって業務に集中しやすくなり、生産性向上が期待できます。
- ワーク ライフ バランス満足度の向上
育児や介護をしながらでも仕事ができるので、家族と過ごせる時間も長くなります。ワーク ライフ バランスが整うことによってストレス軽減効果が期待でき、健康的な生活を送れるようになるでしょう。
デメリット
- コミュニケーション不足
おのおのが遠隔で作業を行うため、ちょっとした確認や雑談の機会が生まれにくくなり、コミュニケーション不足に陥りがちです。また、基本的に 1 人で作業を行う環境であるため、孤独感から精神的にダメージを受けることもあります。これらの理由から、リモート ワークでは個々が社内コミュニケーションに課題を感じがちです。
- 集中力の維持、生産性の維持が困難
仕事場と生活空間が同一であり移動もないため、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。また、出社時間や退社時間を厳密に規定しない場合、昼夜の関係なく長時間労働になりがちです。しかし、作業時間が長くなったからといって、必ずしも時間に比例して成果が上がるとは限りません。場合によっては連日の長時間労働で体調を崩し、かえって生産性が下がる恐れもあります。
- 会社への帰属意識の低下
コミュニケーションが乏しい個別の環境で働くことが常態化することで、従来のオフィス ワークでは容易に感じ取れた自分の立ち位置がわからなくなったり、上司や同僚との関係性の構築が難しくなったりします。居場所や関係性を確認しづらい状況が続くことで、会社への帰属意識が薄れるケースも考えられるでしょう。
- 仕事環境が整っていない
住宅事情によっては、自宅に仕事に集中できるプライベートな空間を確保することが難しいこともあるでしょう。また、会社からの支給がなければ、高性能 PC や高速インターネット環境を用意できないといったケースも考えられます。そのような場合、コワーキング スペースやサテライト オフィスの利用を検討することが必要です。
4. リモート ワークの種類と、それぞれのメリットとデメリット
リモートワークには、働き方によって次のような種類があります。それぞれの特徴とメリット、デメリットについて紹介します。
フルタイム リモート ワーク
フルタイム リモート ワークとは、文字通り勤務時間のすべてをオフィス外で働くスタイルのことです。自宅のほか、コワーキング スペースやサテライト オフィス、あるいは移動中に利用可能な場所など、働く場所を問いません。フルタイム リモート ワークのメリットとデメリットは、先述のとおりです。
ハイブリッド リモート ワーク
「ハイブリッド ワーク」とも呼ばれるスタイルで、オフィスで働く日と、自宅やコワーキング スペースなどで働くリモート ワークの日を組み合わせる働き方です。オフィス ワークとリモート ワークの良い点を取り入れた働き方で、リアルなコミュニケーションの機会を作ることでコミュケーション不足を一定のレベルで解消するリモート ワークと言えるでしょう。リモート ワークのメリットである生産性の向上を保ちつつ、リモート ワーク特有の課題も解消しやすいというメリットがあります。
リモート アウトソース
リモート アウトソースは、「リモート ワークで行える仕事はアウトソーシングできるのでは?」という発想から生まれたスタイルです。社外の人間が契約社員としてオフィス外で仕事をする働き方で、フリーランスのエンジニアやデザイナーと契約し、それぞれの自宅などで従事するワークスタイルを指します。ICT 環境が整った社外の人材と仕事を進めるため、環境整備などの初期投資が不要である点がメリットでしょう。ただし、特定の業務における依頼が中心であり、すべての仕事をアウトソースできるわけではないため、あくまで限定的なワーク スタイルといえます。
テンポラリー リモート ワーク
一時的な業務をオフィス以外の環境で遠隔で行うのがテンポラリー リモート ワークです。一時的な業務を担うスタイルで、固定の勤務時間は設定されていません。基本的には非正規雇用者が業務を担うことが多いワーク スタイルです。また、急な仕事で休日に自宅で業務を行うこともテンポラリー リモート ワークに該当します。状況に応じてリモート ワークのメリットを活かせる働き方ですが、限られた期間が対象です。
5. デメリット「コミュニケーション不足」を解消するには
全体としてリモート ワークの主な課題は、企業側/従業員側共にコミュニケーション不足となっています。コミュニケーションの課題を解消するためには、ハイブリッド リモート ワーク (ハイブリッド ワーク) を導入すること、そしてコミュニケーション ツールを活用することが有効です。
昨今、リモート ワークのコミュニケーション不足を解消するために、オフィス ワークとリモート ワークを併用するハイブリッド リモート ワークを取り入れる企業が増えつつあります。たとえば、週の始めにオフィスに出社して今週の作業内容や課題、アイデアなどを対面式コミュニケーションで共有します。翌日からは自宅などでリモート ワークし、週末に再出社して対面で経過報告や成果報告などを行う、といったスタイルです。
進行中のプロジェクトによっては、その都度プロジェクト メンバーがオフィスに集まり、対面でコミュニケーションを行うこともあります。また、ハイブリッド リモート ワークでは対面式の環境も利用するので、帰属意識の維持やメンタル ヘルス ケアにも効果的です。
また、遠隔地にいるメンバーとの情報共有やプロジェクトの進捗管理を円滑にし、人間関係をも補完するのが、オンラインで提供されているコミュニケーション ツールです。次の項目で「Microsoft Teams」などの代表的なコミュニケーション ツールについて詳しく紹介します。
6. リモート ワークで役立つ Microsoft の製品
ここでは、リモート ワーク特有の課題を解消する代表的なツールを紹介します。
オフィス ワークとリモート ワークをつなぐ「Microsoft Teams」
(画像出典:Microsoft Teams Web サイト)
Microsoft Teams は、Microsoft アカウントがあれば無料で利用できるデジタル ツールでありながら、対面しているかのようにスムーズなコミュニケーションを実現してくれます。円滑な情報共有や共同作業も可能で、リモート ワークで起こりがちなコミュニケーション不足の解消にも効果的です。
Microsoft Teams でできること
- チームとチャネル
Microsoft Teams には、部署単位や支店単位でグループ分けする「チーム」と、チームをさらにプロジェクトなどに細分化する「チャネル」の機能があり、最適な対象だけに簡単に情報を共有することができます。
- ビデオ会議とチャット
電話やメール、チャット、Web 会議などの機能をすべて備えているので Microsoft Teams さえ立ち上げておけば、ほかのツールやアプリを使用する必要がありません。コミュニケーション不足になりがちなリモート ワークでも、オフィスにいるメンバーも交えてコミュニケーションを取ることができます。
- ファイル共有
Microsoft Teams には、チームやチャネルごとにファイルや情報、知識を共有できる機能があります。また、Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint などの Microsoft Office 製品で作成した共有ファイルの場合、専用アプリを起動することなく Teams 上で共同作業できる点も魅力です。
個々やチームの能力発揮をサポートする「Microsoft Viva」
(画像出典:Microsoft Viva Web サイト)
Microsoft Teams のほかに、チームや個人が最大限の成果を発揮できるように支援するツール Microsoft Vivaもあります。Microsoft Viva は、コミュニケーション、知識や情報、学習、リソース、インサイトを集約するプラットフォームで、以下の 4 つのモジュールで構成されています。
- Viva コネクション
- Viva トピック
- Viva ラーニング
- Viva インサイト
Microsoft Viva でできること
社員のエンゲージメントと社内コミュニケーションのための入り口を提供する Viva コネクションと Microsoft Teams を連携することで次のようなことが可能となります。
- Viva トピック
組織内に蓄積されたデータを AI が自動的に整理します。Microsoft Teams を利用することで、社員がどこにいても迅速に必要な知識を得ることも可能です。
- Viva ラーニング
社員トレーニングを無理なく継続するためのサポートで、自己啓発を支援します。複数のサイトにアクセスすることなく、Microsoft Teams 上で Microsoft Learn や LinkedIn Learning、学習管理システム (Learning Management Systems) やサード パーティの資料といったオンライン学習コンテンツを取得することも可能です。
- Viva インサイト
個々が目標に向かって前進することをサポートします。また、従業員の Microsoft Outlook や Microsoft Teams での滞在時間や、勤務時間外でのオンライン頻度を測定し、燃え尽き症候群の原因となる業務のパターンを可視化してくれます。これは従業員のウェル ビーイングを向上し、ビジネスの成果に結びつける機能といえるでしょう。
このように、Microsoft Viva を活用することで、個々やチームの能力を最大限に発揮する文化の育成を促進することができるのです。
7. まとめ
リモート ワークにはメリットもあればデメリットもあります。重要なのは、それらを正しく理解して、企業側も従業員側も納得できるリモート ワークの体制を構築していくことです。
リモート ワークの最大のデメリットであり課題ともなるコミュケーション不足を解消するために、ハイブリッド リモート ワークやコミュニケーション ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために
リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。
これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。
- Microsoft 365・Excel: Microsoft 365 から、Excel の使い方など生産性を向上させるコラム
- Teams・Web 会議: Microsoft Teams を始め、Web 会議をワンランクアップさせるコラム
- リモートワーク・テレワーク: リモートワークやテレワークなど、新しい働き方のお役立ちコラム
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