Trace Id is missing

Excel ルート計算のやり方〜演算子、関数、開平法の使い方を解説

2022 年 5 月 20 日

面積の計算を行っているときに、当初予定していたサイズを変更することはありませんか。面積を倍にする場合は辺の長さを変えることになりますが、どのくらいの長さにすれば面積が倍になるのか瞬時にわからないことがあります。こういった場合に利用するのがルート (平方根) です。Microsoft Excel を活用したルート計算のやり方を習得すれば、効率よく計算できます。
今回はルート計算について、演算や関数などを利用する方法を確認していきましょう。

1. 演算子「^」 (キャレット) を使い数値を 0.5 乗する

Excel で「=+-/*」などの演算子は利用する機会が多いと思いますが、それ以外にも利用可能な演算子が存在します。その 1 つが「^」 (キャレット) です。これはべき乗を表す演算子です。

「=3^3」は、「3 の 3 乗」を意味します。

演算子「^」 (キャレット) を使った「3 の 3 乗」

この場合、セルには 3 の 3 乗の結果である「27」が表示されます。

べき乗は「0.5」とすることで、ルートを表すことが可能です。「=2^0.5」は、「ルート 2」を意味します。

演算子「^」 (キャレット) を使った「ルート 2」

本来、ルート 2 は整数 a、b を使って「a/b」で表せない無理数で、「1.414213562373095048802…」のように小数点以下の値が無限に続きます。
しかし、Excel では数値の最大桁数が 15 桁 (書式が標準の場合は 10 桁) であるため、Excel のルート計算では 16 桁目が四捨五入されます。
この場合、ルート 2 の16 桁目は 5、15 桁目が 9 で、14 桁目が繰り上がっているため「1.4142135623731」となり、13 桁目 (小数点以下 12 桁目) までが正しい数値となる点に注意が必要です。
表示桁数の増やし方については、末尾で解説します。

2. ルートを自動計算する SQRT 関数を使う

演算子を利用せず、SQRT 関数を利用することも可能です。SQRT はルートの英字、「square root」から取られた関数名で、数値を引数にして正の平方根を返します。
以下の例では、A2 から A5 のセルを参照して SQRT 関数を用いてルートの値を表示しています。

SQRT 関数を用いてルートの値を表示

SQRT 関数も最大表示桁は「^」 (キャレット) を利用した場合と同様で 15 桁です。

関数の場合、演算子と違って数式の関数ダイアログを利用できるため、他の関数と組み合わせた数式を利用する場合は積極的に利用するとよいでしょう。

「関数の引数」ダイアログ ボックスでSQRT 関数の引数を設定

3. ^ (キャレット) を関数で表現した POWER 関数を使う

SQRT 関数に類似する方法として、POWER 関数を利用する方法もあります。POWER 関数はべき乗、すなわち同じ数値を繰り返しかけ合わせることができる関数で、「数値,べき乗の指数」を引数とします。
「^」 (キャレット) を関数化したものとなるので、「^」 (キャレット) の場合と同様に 2 番目の引数となる指数に 0.5 を入力することで、ルートの値を返します。

以下の例では POWER 関数を用いて A2 から A5 のセルを参照し、指数に 0.5 を入力して、ルートの値を表示しています。

POWER 関数を用いてルートの値を表示

4. 開平法を使う

Excel の関数や演算子のように簡単に計算できるわけではありませんが、開平法という筆算法を利用してルートを計算することもできます。
開平法は求めるルート内の数字について小数点を基準に 2 桁ごとのブロックに分け、左右で計算していくことでルートの値を求める計算方法です。

開平法でのルート計算

開平法は、Excel を計算補助シートとして利用することで、単純な計算を繰り返すだけでルート値を算出可能です。
また、開平法を使うと Excel の数値の 15 桁までの制限はかからないため、さらに長い桁数のルートを求めることができます。

ここで使う関数は、SUM 関数と TEXT 関数です。SUM 関数は数値を合計する関数で、引数には個々の値、セル参照、セル範囲等を取ります。TEXT 関数は数値を文字列として扱えるようにする関数で、「書式設定する値, 適用する表示形式コード」を引数とし多くの表示形式に対応しますが、今回は数字 1 桁を表す「0」を引数とします。

例として、ルート 2 の値を Excel で計算補助して開平法で出してみましょう。

【Excel を計算補助利用する開平法】

1. ルートの値を算出したい数を入力する
(例ではルート 2 の値を算出するため J1 セルに「2」を入力)

ルートの値を算出したい数を入力

2. 2 乗して入力した値以下となる最大の整数を求め (例では 2 に対し 1 の 2 乗が 1 のため 1)、

  • 求める値を入力したセルの直下のセル
  • 求める桁数分左に移動したセル (同じ行)
  • その下のセル

上記 3 か所に求めた値を入力する
(例では 9 桁まで求めることとし、
・「2」を入力したセルの直下
・「2」を入力した J1 セルから左に 9 番目となる A1
・その下 A2
に「1」を入力する)

2 乗して入力した値以下となる最大の整数を求め、 3 か所に値を入力

※ルート 1234 のように桁数が偶数の場合は、最初の 2 桁である 12 を対象とし、ルート 12345 のように桁数が奇数の場合は、最初の 1 桁である 1 を対象とし、2 乗して入力した値以下となる最大の整数を求める

3. J3 セルに上の J1 と J2 のセルを引き算して 100 をかける式を入力する
(例では「=(J1 -J2)*100」を入力し 100 が表示される)

J3 セルに上の J1 と J2 のセルを引き算して 100 をかける式を入力

※ルート 1234 やルート 12345 のように桁数が多い場合は、次の 2 桁を下ろす
(ルート 1234 なら 34、ルート 12345 なら 23)

4. 左側の「1」を入力したセルの下に上の 2 つのセルの値の和を入力する
(例では A3 のセルに「=SUM(A1:A2)」を入力し「2」が表示される)

左側の「1」を入力したセルの下に上の 2 つのセルの値の和を入力

5. A3 が 10 の位となる 2X*X が、手順 3 で求めた 100 以下となるような最大の整数 X を求め、B3 に入力する
(例では 23*3 が 69、24*4 が 96、25*5 が 125 のため、該当する「4」を B3 に入力する)

A3 が 10 の位となる 2X*X が、手順 3 で求めた 100 以下となるような最大の整数 X を求め、B3 に入力

6. 100 の下の J4 に 24*4 の値を入力する
(例では、「=TEXT(A3&B3,0)*B3」を入力し「96」が表示される)

100 の下の J4 に 24*4 の値を入力

7. A1、A2 と同様に、B4 に B3 をコピーする

A1、A2 と同様に、B4 に B3 をコピー

8. 96 の下の J5 に入力した上の 2 つのセルを引き算して 100 をかける式を入力する
(例では「=(J3 -J4)*100」を入力し 400 が表示される)

96 の下の J5 に入力した上の 2 つのセルを引き算して 100 をかける式を入力

9. 左側の「4」を入力したセルの下 B5 に上の 2 つのセルの値の和を入力する
(例では「=SUM(B3:B4)」を入力し「8」が表示される)

左側の「4」を入力したセルの下 B5 に上の 2 つのセルの値の和を入力

10. 同じ行に 1 番左の列で求めた和もコピーする

同じ行に 1 番左の列で求めた和もコピー

11. 手順 10 でコピーした値が 100 の位、手順 9 で求めた 2 つのセルの和が 10 の位となる  28X*X が400 以下となるような最大の整数 X を求め C5 に入力する
(例では 281*1 が 281 のため、該当する「1」を C5 に入力する)

手順 10 でコピーした値が 100 の位、手順 9 で求めた 2 つのセルの和が 10 の位となる  28X*X が400 以下となるような最大の整数 X を求め C5 に入力

12. 手順 6 から 11 を繰り返し、I 列まで値を入力する

手順 6 から 11 を繰り返し、I 列まで値を入力

※ H 列のように 2 つの数字の和が 10 以上で桁が繰り上がる場合は、左隣のセルに 1 を足して繰り上がりを行う

13. それぞれの列の 1 番上のセルがルートの値を表す
(例では、「1.41421356」となる)
※筆算で 00 を下したことに当たるのが J 列で最初に *100 を行ったタイミングとなり、小数点以下の計算となるため、最初の 1 の後に小数点が入る

このように、開平法でエクセル シートを補助利用することで、ルートの値を算出できます。

Excel 作業を高速化するテクニックを厳選!

無料ガイドブック
Excel ショートカット 30 選
Microsoft 公式 超時短仕事術 Excel ショートカット 30 選

5. ルートを表記したい

ここまで紹介した方法は、値の計算を行い結果表示するものなので、ルート自体の表記は行っていません。Excel 上でルートを表示したい場合は、Excel のルート表記を行う機能を利用しましょう。
挿入リボンの数式から「べき乗根」を選択することで、教科書に記載されているようにルートを表記することができます。

【ルートを表記する】

1. 挿入タブから記号と特殊文字をクリックし、数式をクリックする

挿入タブから記号と特殊文字をクリックし、数式をクリック

2. 数式タブが表示されるので、べき乗根から平方根をクリックする

べき乗根から平方根をクリック

3. 「ここに数式を入力します。」と書かれていたところにルートの記号が表示されるので、数字を入力する部分をクリックし、ルートに入れたい数字を入力する (例では「2」を入力)

数字を入力する部分をクリックし、ルートに入れたい数字を入力

入力値を確定すると、図形として扱われるため、ホーム タブでフォントの種類やサイズを変更したり、図形の書式タブで背景色を設定したりできます。
また、選択して回転ハンドルや移動ハンドルをクリックすると、回転や移動もできます。

入力値を確定すると、図形として扱われる

再び図形内の数字をクリックすると、数式の修正も可能です。

再び図形内の数字をクリックすると、数式の修正も可能

6. 表示桁数の増やし方

ルートの計算を正確に行いたい場合、標準書式の 10 桁では不足しがちです。
Excel の最大桁数である 15 桁まで表示させるには、書式を数値に設定し、小数点以下の桁数を 14 桁とするか、書式で小数点以下の桁数を増やすボタンで桁数を増やす必要があります。

それ以上の桁を出したい場合は、前述の開平法を用いて手計算する必要があります。

【書式を数値に設定し、小数点以下の桁数を 14 桁とする】

1. 書式を変更するセルを選択する

書式を変更するセルを選択

2. 「ホーム」タブの「数値」の右のボタンをクリックする

「ホーム」タブの「数値」の右のボタンをクリック

3. 「セルの書式設定」画面で「数値」を選択し、「小数点以下の桁数」を 14 に設定、「OK」ボタンをクリックする

「セルの書式設定」画面で「数値」を選択し、「小数点以下の桁数」を 14 に設定、「OK」ボタンをクリック

4. 書式が変更される

書式が変更される

※「#########」が表示される場合はセルの幅が足りないので、セルの幅を広げ全体を表示させる

【小数点以下の桁数を増やすボタンで桁数を増やす】

1. 書式を変更するセルを選択する

書式を変更するセルを選択

2. 「ホーム」タブの小数点以下の桁数を増やすボタンをクリックする

「ホーム」タブの小数点以下の桁数を増やすボタンをクリック

3. クリックした分だけ桁数が増える

※ 15 桁を超えるとそれ以降の値は本来値がある場合でも 0 と表示される

小数点以下の桁数を増やすボタンを使った場合、書式はユーザー定義となります。

7. まとめ

Excel でルート計算をする場合は、キャレットや SQRT 関数、POWER 関数を利用すると 15 桁までの自動計算が可能です。これ以上の桁数を計算したい場合は、開平法を用いて手計算する必要があります。これらの方法をぜひルート計算にお役立てください。

【参考】関連する関数

  • SQRT 関数 ルートを計算する
  • POWER 関数 べき乗を計算する
  • SUM 関数 数値を合計する
  • TEXT 関数 数値を文字列として扱えるようにする

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

他にも Excel 作業を高速化するテクニックを厳選! 無料ガイドブック

Microsoft 公式 超時短仕事術 Excel ショートカット 30 選

Excel ショートカット 30 選

Microsoft 公式の超時短仕事術 Excel ショートカット 30 選です。
もっと PC スキルを学びたい、より効率的に業務を行いたいという方におすすめです。

ご購入検討の問い合わせ先

電話アイコン

お電話で購入相談

受付時間: 9:00 - 17:30 (土日祝日、弊社指定休業日を除く)

封筒アイコン

Web フォームで購入相談

本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。