リモートワークで空いた通勤時間って何してる?
2021 年 8 月 26 日
コロナ禍の影響から、大手企業を中心にリモートワークが普及。そこで一気に通勤時間が短縮されることになりました。これまで往復で数時間費やしていた、この無駄な時間を皆さんはどのように有意義な時間に充てているのでしょうか。本コラムでは通勤時間の有効活用について実態をまとめてみました。
1. 日本人の平均通勤時間
まずは、日本人の通勤時間の実態から解説していきましょう。
1-1. 日本人の平均通勤時間は 1 時間 39 分
総務省統計局の調査によると、日本人の通勤時間の平均は 1 時間 19 分。特に神奈川県、千葉県、埼玉県、東京都の首都圏は平均 1 時間 39 分、奈良県、大阪府、兵庫県、京都府といった近畿圏では 1 時間 24 分の通勤時間を費やしているのだとか。これは年間に換算すると相当な時間になります。仮に月 20 日通勤するとして、月に 26 時間、年間 312 時間もの通勤時間を費やしていることになります。実に年間で 13 日分を通勤に使っていることになり、フルリモートであれば、ちょっとしたバケーション並の空き時間を取り戻せるという計算になります。
1-2. 通勤時間と睡眠時間の相関関係
ある調査結果によると、通勤時間が長くなればなるほど睡眠時間は短くなる傾向があることがわかっています。通勤時間が片道 20 分以内である人の場合、平日の平均睡眠時間は 6 時間 2 分。それに対して 100 分以上の人は 5 時間 22 分と、40 分程の差があることがわかっています。通勤時間が長くなると、睡眠時間を削ってでも、他の趣味や自分の時間に充てる人が多くなるということでしょう。睡眠時間が短くなれば、それだけ作業効率が悪くなりますから、このことから通勤時間の長さが業務効率に少なからず影響を与えているということがわかります。
1-3. 通勤時間がなくなることで移住も可能
リモートワークの普及によって通勤が不要になり、都市圏から移住する人が増えています。すなわち通勤時間を一気にゼロにするという考え方です。東京都の住民基本台帳人口移動報告によると、2020 年 5 月から転出者が転入者を上回る現象が続いているようです。元々地方への転出を考えていた人たちが、新型コロナウイルス感染拡大に背中を押された形で、通勤圏内ギリギリの範囲内で移住しています。さらにリモートワークが定着することで故郷や憧れの地方都市に定住したり、この機会に多拠点生活を始める人もいます。
2. 通勤時間とストレス
通勤時間が長くなると、どのようなデメリットが生じるようになるのでしょうか。
2-1. 通勤時間が長いとストレスを感じる
ある調査によると、リモートワークを経験した人のうち 63.9% が、そのメリットについて、「通勤ストレスの減少」をあげています。他にも、「時間を有効活用できる」「気候や交通状況などに左右されず、業務ができる」「自分のペースで仕事ができる」「服装や髪型などを気にしなくてよい」などの回答がありましたが、やはり通勤時間がらみが圧倒的割合を占めていることから、日頃から満員電車による通勤にストレスを感じているビジネス パーソンが多いことがわかります。
2-2. 通勤時間と幸福度の関係
ニッセイ基礎研究所が実施する独自の調査結果から、大変興味深い傾向が見て取れるのでご紹介します。それは「通勤時間と幸福度の関係に関する研究」というものです。コロナ禍においてリモートワークが推奨され、在宅勤務者が増えました。その経験者の 5 割強が、通勤にかかる時間が削減されただけでなく、精神的、身体的ストレスも軽減されたというコメントを寄せています。通勤がなくなることで時間はもちろん、気持ちにも余裕ができることで、仕事に集中できるようになったと回答が目立ちました。
2-3. 唯一の課題は運動不足懸念
在宅勤務の経験者の 60% が、上記の理由から今後もコロナに関係なく在宅勤務の継続を望んでいます。一方で、通勤時間がなくなったことのデメリットとして唯一、「運動不足」を問題視する声も聞かれます。特別、スポーツジムに通うなどして運動をしようという意識がない人でも、知らず知らずのうちに通勤で運動をしていたりしますが、通勤がなくなったことで、このわずかな運動時間もゼロに。それによって、体重が増えてしまったり、体調を崩してしまう人もいます。
2-4. 世界の通勤時間と幸福度
通勤時間と幸福度にはどのような相関関係があるのか見てみましょう。国連が発表している「世界幸福度」報告でトップ 10 に入る国々、すなわち国民が幸福度の高さを実感している国々は、通勤時間が世界平均を下回っていることが報告されています。それは北欧諸国に多く見られるのですが、ノルウェーは 33 分、フィンランド、スウェーデンがともに 21 分となっており、幸福度ランキングはそれぞれ 5 位、1 位、7 位となっています。
2-5. 理想の通勤時間とは?
ちなみに、人々が理想とする通勤時間は片道 20 分以内と言われているので、そこを超えてしまうと、少しずつではありますがストレスを感じ始めてしまうのでしょう。リモートワークの導入により通勤時間がなくなったことで、幸福感を覚えるようになった人が多くいるというのも納得です。
3. 通勤時間がなくなることのメリット
まずは、通勤時間がなくなることで生じるメリットについて整理しておきましょう。それは仕事の面においても、プライベート面においてももちろん、社員一人ひとりにとっても、企業にとってもそれぞれに大きなメリットがあります。
3-1. 社員にとってのメリット
リモートワークであれば、社員一人ひとりが自分の好きな場所で仕事をはじめて、そして終えることができます。通勤時間や出社時間に縛られることなく、家族と一緒に過ごしたり、自分の趣味や興味あることに時間を費やすことができます。通勤時間が長かった人は早起きをして電車に乗る必要もなく、帰宅時間も早くなります。家族と一緒に食事をしたり、会話をする時間も圧倒的に増えてコミュニケーションも活性化。家族と過ごす時間も充実するはずです。私生活が充実すれば、当然仕事にも影響します。ストレス フリー生活の中であれば新しい発想も生まれますし、仕事の効率もアップ。業務生産性が向上します。
3-2. 会社側のメリット
企業にとってもメリットはあります。通勤時間を減らすことで社員の心身が共に充足すれば、そこから仕事に対するモチベーションが生まれます。それによって成果に繋がり、会社の業績もアップします。リモートワーク導入による通勤時間の削減が、会社をよりドライブさせるエンジンとなるかもしれません。労使ともに大きなメリットがあり、具体的に採用を検討する価値があると考えられます。
4. 通勤時間に何をするか? 時間の有効活用
定期的な出社が義務づけられているにせよ、限りなくゼロに近づくことに皆さんは通勤時間をどのように有効活用しているのでしょうか。
4-1. どうせなら人生を豊かにする時間に
これまで通勤時間に費やしていた、月に 26 時間、年間 312 時間もの時間を有効活用すれば、仕事のスキルアップや転職活動、趣味の時間に充当できます。もちろん、これまで激務の日々を過ごしていた人は十分な睡眠時間を確保したり、休養の時間に充てるのも良いでしょう。しかし、せっかくできた貴重な時間ですから、自分の人生や生活を豊かにするために活用すると良いでしょう。
4-2. 何かをはじめるきっかけにする
もしかしたら、会社の方針がこの先変わることで、再び出勤することになるかもしれません。しかし、この貴重な時間を使って一歩踏み出したことを、そのまま継続できるかもしれません。人生を豊かにするということは、すなわち金銭的な豊かさと心の豊かさを指します。前者を考えると副業や独立・起業の準備ということになりますし、後者であればライフ ワークとなりうる趣味や社会活動などのきっかけを掴むという話になるかと思います。
4-3. 自己研鑽に充てる
もちろん、意識の高いビジネス パーソンは自己研鑽の時間に充てています。そういう人たちは、通勤時間があった頃からすでに電車の中で学習したり、読書で知見を広げる時間に充てていました。例えば、音声教材による外国語の習得や資格試験の勉強、自己啓発本の読書などがそうですが、リモートワークが導入され、在宅時間が増えるとオンライン講座や DVD 教材を活用して、さらに学習を深めるようになりました。またオンライン サロンやコミュニティに参加して、情報を収集したり人脈を広げる活動に注力する人も増えているようです。
4-4. 通勤時間活用に男女の格差が
ある調査によると、リモートワーク導入によって浮いた通勤時間の使い道について、男女差が色濃く現れていることがわかります。男性は「仕事」「SNS・ネット サーフィン」が同率 1 位である一方で、女性については「家事」がダントツ 1 位という結果に。女性は、削減できた通勤時間を「育児・子育て」「食事・入浴・家事・身の回りの用事」「買物」などに充てており、自分のことより家族のことを優先していることが見て取れます。この結果からも、まだまだ日本においては多くの女性が男性よりも家庭内での家事の分担を多く担っていることがわかります。
4-5. 通勤時間がないことの弊害
通勤時間を埋める手段として多くの人が「SNS・ネット サーフィン」をあげているのも興味深い結果といえます。仕事の情報収集のつもりが、いつの間にか関係のないネット サーフィンに流れてしまうのかもしれません。コロナ禍以前であれば、通勤途中にスマホを閲覧していても、オフィスに着けば気持ちの切り替えが可能だったものの、リモートワークではなかなか、その切り分けが難しくなっているのかもしれません。
4-6. 自己研鑽に積極的な 20 代
若手ビジネス パーソンとなると、さらに空き時間の有効活用について積極的な姿勢を見せています。ある 20 代向けの転職サイトが実施したアンケート結果によるとコロナ禍で、スキル習得や自己研鑽に「積極的になった」という回答が 41.7% に上ることがわかりました。その背景には、「テレワークで、出社していたときよりも『成果』が求められ、コロナ禍で、企業に依存せずに個人のスキルを高めておく必要性を感じたという思いがあるようです。そこで、リモートワークによって通勤時間がなくなり、平日に自由な時間ができたことで、それを有効活用しようという気持ちが生まれたようです。
4-7. コロナ禍で増えた勉強機会
自己研鑽はもちろん、この不透明の時代に理想の転職やステップ アップを行うための武器としたいという気持ちもさることながら、出社しないでリモートワークが中心になると、先輩が手を差し伸べてくれる機会も少なく、自分から積極的に助言や成長機会を求める必要があるという心理も働いているようです。さらに、オンラインでの講座や読書会などの機会が増えているので、“自分から自己成長の機会を確保したい”という意欲がわいているようです。確かに、このコロナ禍において自己啓発本の販売部数が飛躍的に増え、様々なビジネス ジャンルにおけるオンライン講座も多発。勉強機会が飛躍的に増えているのは確かです。
5. 情報交換に最適なツール
自己研鑽や情報取集に有効なのは、やはり人伝の情報です。そこにはネットサーチからは得られない“活きた”情報確度が存在しています。
5-1. 雑談時間の必要性
情報収集や自分に最適な自己研鑽の手段を見つけるきっかけとなるのが、コミュニティや上司、同僚と交わす雑談の機会です。しかし多くのビジネス パーソンがリモートワークに移行し、Web 会議が主流になったことで雑談時間が減った、もしくはなくなってしまったと感じているようです。企業によってはあえて Web 上で雑談時間を設け、自由闊達な意見交換を促しているケースもあります。根底にあるのは自由で円滑なコミュニケーションです。誰もが話しやすい雰囲気を作れば、あえて雑談時間を作る必要はありませんが、少し気持ちに余裕を持って Web 会議に臨むような雰囲気づくりは必要です。
5-2. 「Microsoft Teams」を勧める理由
そこで注目してほしいツールが「Microsoft Teams」です。「Microsoft Teams」はチャットや Web 会議はもちろん、メールや Outlook の予定表も取り込み、ファイル共有、共同編集などの付随機能も充実させたコミュニケーションのハブとなる統合ツール。リモートワークが中心となり、メンバー同士が物理的な距離を感じざるを得ない中、「Microsoft Teams」は、同じオフィスにいるかのような感覚で、シームレスにメンバー間のコミュニケーションをデザインします。「Microsoft Teams」は、雑談や情報収集に欠かすことのできない優れたアプリケーション群といえます。
リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために
リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。
これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。
- Microsoft 365・Excel: Microsoft 365 から、Excel の使い方など生産性を向上させるコラム
- Teams・Web 会議: Microsoft Teams を始め、Web 会議をワンランクアップさせるコラム
- リモートワーク・テレワーク: リモートワークやテレワークなど、新しい働き方のお役立ちコラム
幸福度が高まるリモートワークを! おすすめのガイドブック
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