1. リモートが定着しない日本人
コロナが落ち着いて、新型コロナの感染者数が減少。緊急事態宣言が解除された途端に、多くの経営者は再び「集まった方がいい」「原則出社」などと言いだしました。それは一体どうしてなのでしょうか。
1-1. 7 か国中最も低い水準の日本
アドビ社が 2021 年 4 月から 5 月にかけて、日本や米国など 7 か国に対して実施した「働き方に関する調査」によれば、日本人は唯一、「リモート ワークではオフィスほど仕事がはかどらない」と答えた人が多数を占めたようです。アドビ社は、その要因について「ハンコや書類へのサインなど、オフィスでしかできない紙を使った業務が、リモート ワーク環境下の仕事効率化の妨げになっている」と推定しています。また「リモート ワークによってワーク ライフ バランスは向上しましたか?」の問いに「向上した」と答えた人の割合も 7 か国中最も低い水準となりました。
1-2. リモート ワークが浸透しない理由
どうして日本人は、うまくリモート ワークができないのでしょうか。日本でリモート ワークが普及しない理由はいくつかありますが、まず会社への帰属意識が強いことがあげられます。自分がどの会社のどの組織に所属しているのかに重きを置く人も多く会社に行かずに個人で仕事をするという感覚がつかめないのではないかと推測されています。また、日本人はチームでの仕事が得意で、どちらかというと個人での成果をあげることを苦手としています。仲間意識が強く、チームとして繋がっていないと不安になる人が多いと考えられます。
1-3. 従業員管理の問題が大きい
た、リモート ワークは従業員の管理が難しいという側面があります。日本にはタイムカードで出退勤を管理する慣習があり、フェイス・トゥ・フェイスの報連相によって上司が仕事の進捗を把握してきました。ところがリモート ワーク下となり、上司が自分の目の前の部下を管理できないという不安にさいなまれ始めました。フェイス・トゥ・フェイスの関わりを重視する傾向は社内だけでなく、社外の人間に対しても同じです。特に年齢層の高い経営者や管理者ほどその傾向が強く、上がそのような考え方であれば、必然的に部下も従わざるを得ません。さらにはプライベートとの区別がつきにくい、リモート ワークできる仕事が少ない、労災やセキュリティの対策が不十分であるなどの障壁があげられています。
リモート ワークの普及には、インフラ整備や機器を揃えることもさることながら、まずは経営者や従業員の意識改革からはじめるべきでしょう。