Trace Id is missing

オンライン化で薄れる!? 企業への帰属意識

2021 年 8 月 26 日

コロナ禍の影響により、急激に普及が進んだリモートワーク。多様な働き方が選択できるという意味では、政府が後押しする「働き方改革」に一役買った感はありますが、一方で物理的に職場から離れた場所で働くことによって、帰属意識が薄れてしまう可能性があるとの危惧も生まれています。果たして、そもそも日本人の企業の対する帰属意識はどうなっているのか? 醸成する術はあるのか考察してみました。

下から見上げた高層ビル

1. 会社に対する帰属意識の動向

まずは、帰属意識に対する日本人の感覚を把握したいと思います。

1-1. 帰属意識とはどういうものか?

帰属意識とは、「ある集団に属している、またはその集団の一員であるという意識や感覚」を意味する言葉。ここで言う集団とは、家族や会社、学校、宗教、自治体、国や民族などが挙げられますが、例えば会社であれば、自分の会社のための目標達成に向けた行動や責任の意味をもち、“ここに所属し続けたい”という気持ちを指します。帰属意識の高い社員は、当然、離職をすることなく、長く企業に勤め、会社のために力を尽くし、その成長を支えていきます。

ところが、数年で転職をしていったり、独立していく社員が増えている昨今においては、この「帰属意識」という言葉自体、一昔前のものというか、死語になりつつあります。しかも帰属意識の高い社員が必ずしもハイ パフォーマーというわけではありません。また帰属意識が高かったとしても、“給料が良いから仕方なく仕事をしている”“できる限り楽して給料をもらいたい”という考えを持ちながら働いている可能性があります。すなわち、必ずしも帰属意識が高いからと言って、チームや会社に貢献できているとは限らないということです。

1-2. エンゲージメントを意識する企業が増えている

こういった理由から、イマドキの企業においては、「帰属意識」ではなく「エンゲージメント」を重視する傾向が見られます。「エンゲージメント」とは、約束、もしくは何かに対して強い思い入れを持って没頭している状態を意味しています。ビジネスにおいては、もともとマーケティング用語で、顧客と商品のつながりや顧客が持つ商品への愛着などを表していましたが、最近、組織に対する社員の貢献意欲を表すようになり、現在はこちらがポピュラーになりつつあります。

1-3. 帰属意識とエンゲージメントとの違い

「帰属意識」と「エンゲージメント」は似て非なる言葉です。例えば、自分が所属する企業・組織に対して居心地の良さを感じている状態も「帰属意識」が高い状態といえますが、企業に対する貢献行動が多い状態ではありません。一方の「エンゲージメント」は、企業・組織の業績に貢献しようという動機が根底にある状態を指します。また、意識のベクトルの向きが違います。「帰属意識」は社員から企業・組織に対する一方通行のものですが、エンゲージメントは、社員から企業・組織、そして企業・組織から社員という双方向のものです。社員と企業・組織のそれぞれが同じ方向性を共有し、お互いが貢献していこうという姿勢です。

2. 帰属意識やエンゲージメントが注目される背景

どうして帰属意識やエンゲージメントが注目されるようになっているのでしょうか。その要因を探ります。

握手をする 2 人のビジネス パーソン

2-1. リモートワーク導入は大きな要素

コロナ禍におけるリモートワーク導入によって、従業員がオフィスから離れて働くようになり、改めて帰属意識やエンゲージメントの重要性に注目する企業が増加しています。従業員にとっても「組織や仕事と自分の関係」を再考するきっかけにもなっています。その背景には近年、終身雇用で会社の中でキャリアを築いていくスタイルから、会社という枠にとらわれず、自由に個人が自らのキャリア、ひいては人生をデザインすることへの意識の高まりが見られます。

2-2. 離職率の低下を意識

大手企業においては若手社員の離職率を下げるための施策として帰属意識やエンゲージメントを高める手法に注目するようになっています。一昔前に存在していた“大企業に就職したら、その後はずっと安泰”といった意識は消滅し、転職を考える人が増えるようになりました。それによって人材の流動性は高まり、企業は優秀な人材を採用できるチャンスと、優秀な人材が流出するリスクを同時に得ることになります。そうなると企業としては、帰属意識を高めることで、離職率を低下させようと考えはじめます。

2-3. 貢献したいという意識が生まれる

帰属意識やエンゲージメントはどのようにして形成され、根付いていくものなのでしょうか。もっとも基本的なものとしては、まず企業理念や経営方針に対する共感、もしくは扱うサービスや商品などへの愛着が強まることによって生まれる意識があります。会社や組織に愛着を持つようになれば、自分の行動によって組織を支えたい、貢献したいという気持ちが生まれます。同時に大切な仲間と協力して、組織を盛り立てていこうという気持ちを持つようになります。

3. 帰属意識を高める方法

実際に帰属意識を生み、それを高める方法はあるのでしょうか。

3-1. 帰属意識が高まれば採用活動も優位になる

帰属意識、あるいはエンゲージメントを高めるための取り組みは、会社や組織が成長するためにとても重要な要素です。先ほども説明したように、社員それぞれが会社に対する愛着が高まり、組織の一員としての意識が強まることで、当然、業績もアップしていくでしょうし、さらに組織全体の雰囲気が良くなれば採用活動においても優位になります。社員同士の人間関係が希薄で雰囲気の悪い会社に好きこのんで入社しようという人はいません。やはり仲間意識が高い会社の方が、新入社員にとっても心理的安全性も高くなるのは間違いありません。

3-2. 働き方や福利厚生の改善

帰属意識、あるいはエンゲージメントを高めるためにまず行うべきは、社員一人ひとりの事情に応じた働き方を柔軟に取り入れることです。福利厚生を充実させることも帰属意識を高めるうえで重要な要素といえます。ただ単純に好待遇や好条件を並べるのではなく、これから入ってくる人はもちろん、現在在籍中の従業員にとって必要な待遇、例えばフレックス制度や時短勤務、リモート勤務などを取り入れることが重要です。その際には会社から押しつけるのではなく、できる限り従業員の声を聞きながら反映できるところは反映するというスタンスが必要です。

3-3. 社内コミュニケーションの活性化

もちろん、帰属意識を育むためには社内の人間関係を向上させることはとても重要です。それは、上下の関係だけでなく、横の関係もそう、部署の垣根を越えた横断的なコミュニケーションも必要です。そのためにはコミュニケーションの活性化を目的とした社内イベントの開催や、誰もが気軽に話せるミーティングの場などを設定すると良いでしょう。もちろん、会社側が立案運営するだけでなく、社内コミュニティが自走することが理想です。あくまで会社がきっかけを作り、後はコミュニティのキーマンに託すというのが良いでしょう。

3-4. 経営層との関係も重要

従業員と経営層とのコミュニケーションも重要です。従業員が経営層に対して信頼を寄せ、この組織に所属することに対する心理的安全性を得、さらに経営層について行きたい、一緒に会社を盛り立てたいと思うことで帰属意識が高まっていきます。重要なのはメッセージです。従業員のため、社会のためといった大きな目的や理念に沿って会社を経営しているのであれば、その想いを言語化して頻繁に社員へと共有することが重要です。会社が掲げる理念に共感できれば、自分たちの仕事が会社を通じて社会の役に立っているという充足感に繋がり、さらに組織に対する帰属意識やエンゲージメントの強化に繋がっていきます。

4. 帰属意識やエンゲージメントが強化されることで期待される効果

帰属意識やエンゲージメントが強化されることでどのような効果が生まれるのでしょうか。

4-1. 組織の一員としての自覚

従業員の帰属意識、もしくはエンゲージメントが高まっていけば、自らのポジションに求められる役割を理解し、主体的に行動できるようになります。業績に対する責任が芽生え、自分事として受け止めるようになるので、決して受け身の姿勢で業務に従事することなく、組織全体の生産性向上に好影響を与えます。そして、組織のミッションやビジョンを実現するために努力し、自分が属する組織の環境を改善しようとアイデアを提案するようになります。組織の一員としての意識が強まるので、たとえ業務上困難な状況になっても退職を選択するのではなく、仲間と共に乗り越えようという思考になります。すなわち社員の定着率向上に繋がるということです。

4-2. 帰属意識の低下は会社崩壊の兆し

人材の流動化が進み、日本企業の特徴であった終身雇用も今や過去の制度になりつつあります。そのため会社や組織に対する社員の帰属意識は薄れている傾向があることは間違いありませんが、そのまま放っておいては組織や仕事に対する興味を失う社員が増え、離職者が後を絶たない状態になり、会社の存続が危ぶまれます。能力の高い社員の離職を防ぐためにも、帰属意識やエンゲージメント向上に努めるべきでしょう。それは経営者が行うべき重要な施策のひとつであることは間違いありません。

5. 諸外国と日本の帰属意識の違い

そもそも日本人の企業に対する帰属意識は、国際的に見てどのような感覚なのでしょうか。個人主義が定着する欧米に比べて高いような気がするのですが、実態はどうなのでしょう。

5-1. 景況感と帰属意識の因果関係

あるグローバル企業の調査によると、国によって労働観も企業文化も違うため、単純な比較はできないものの、経済全体が急激な成長段階にある新興国ほど帰属意識やエンゲージメントが高まっている傾向にあるという結果が見られるようです。やはり日本も高度成長期においては企業単位、ひいては国家全体として“一丸となって経済を活性化する”という意識が働いていたような気がします。景況感と帰属意識に相関関係があるという調査結果にはうなずけます。

5-2. 終身雇用と帰属意識の関係

しかし、そんな日本も今や国際的に見ても帰属意識やエンゲージメントは低いものと分析されています。やはり終身雇用の終焉と、良い意味での個人の生き方に対する意識の多様化が影響しているのでしょう。また終身雇用が定着する大手企業においても、仕事に対する姿勢がやや受け身で、経営陣や上司が決めたことに従うという傾向があり、それがエンゲージメントの低下に繋がっているという見方もあります。

5-3. 日本独自のエンゲージメント強化要因

もう一つ興味深いのは、エンゲージメントを左右する要因が、日本と諸外国とで微妙な違いがある点です。海外では「経営トップのリーダーシップ」「ゴールや目標の明確さ」「業務の社会的な意義」「ワークライフのバランスと柔軟性」があげられていますが、日本では、「経営トップのリーダーシップ」がベスト 5 に入っていません。これは日本企業において、いかに経営陣のビジョンや理念が社内で共有されていないか、そんな状態が色濃く表れた結果と言えます。

また日本では「福利厚生の充実」が上位に入っているのも特徴といえます。先進国では珍しい傾向なのだとか。このことからもやはり、日本の社員は所属する企業に対し、心理的安全性を強く求める傾向があることがわかります。

6. リモートワーク下における帰属意識の醸成

リモートワークが中心となり、コミュニケーション量が低下する環境下において、いったいどのようにして帰属意識を醸成するべきなのでしょうか。

6-1. リモートワークによるエンゲージメントの低下

在宅勤務を中心とするリモートワークが普及し、帰属意識やエンゲージメントの低下が問題視されるようになりました。当然のことながら、その原因は対面コミュニケーションの欠如です。これまではオフィスに集って対面で話をしながら仕事をすることで、組織との繋がりを意識してきました。ところがリモートワークによって、同じ空気、同じ時間を共有することが難しくなり、上司や同僚との関係性が希薄になると同時に、チームや会社に対する帰属意識が薄れてきました。

PC の前でヘッドセットをつけて話すビジネス パーソン

6-2. 帰属意識が薄れることによる悪影響

帰属意識やエンゲージメントが希薄になれば、会社のために働くという意識が生まれにくく、能動的な仕事が期待できないうえに、生産性や質の低下に繋がります。不満や愚痴をこぼす社員が増えていって、ネガティブな空気から組織全体のパフォーマンスが低下していきます。リモートワークが定着する一方で「社内コミュニケーション」が低下し、結果的に、モチベーションや生産性の低下を招いてしまうのではないかという懸念が生じています。

6-3. 意識的なコミュニケーション強化

特に日本においては、コロナ禍以前から「社内コミュニケーション」に課題をもっている企業が多く存在していました。そこにリモートワークが入ってきたので、さらに状況は複雑になりました。その一方で、リモートワークになったからこそ意識的にコミュニケーション強化やチーム ビルディングを意識するようになったという見方もあります。これまで以上に個人のワーク ライフ バランスの考え方を尊重し、オフィス勤務時より丁寧にかつ頻度を多めに報連相をする習慣を定着させ、会社ロゴや理念、チーム目標やスローガンを積極的に共有する企業が増えています。こういった意識を持っている企業では、様々なコミュニケーション施策やツールを用いることでコロナ以前よりも社内コミュニケーションが改善された例もあるほどです。

7. 帰属意識醸成に役立つツール

帰属意識、あるいはエンゲージメントの醸成には、活発な社内コミュニケーションが必要不可欠だと言うことがわかりました。コロナ禍対策として始まり、多くの企業で浸透してきリモートワーク下において、コミュニケーションは、どのように活性化すべきでしょうか。

7-1. 的確なチーム ビルディングが帰属意識を生む

帰属意識の醸成に役立つ施策として注目されているのがチーム ビルディングという手法です。チーム ビルディングの目的は、様々な立場の人たちが互いに、共通する目標に向かって自主的に動くことができる組織作りです。そのベースにはコミュニケーションと自主性があります。すなわち帰属意識醸成と目的意識が非常に似通っています。チーム ビルディングによって帰属意識が醸成され、帰属意識が高いメンバーが集まるほどチーム ビルディングが強化されやすいという相関関係にあります。チーム ビルディングによって強化されたチームでは、基本的にはどんなに離れた場所で働いていても、シフトや勤務時間が違う人でも齟齬なく働ける仕組みをできあがっているはずです。

とはいえ、コロナ禍以前は、常にオフィスで顔を合わせていたメンバーが、リモートワークに移行したことで、これまで同様の関係を維持できるどうかはわかりません。チーム ビルディングのポイントはコミュニケーションです。雑談や気軽に開催できるブレストなどの機会は確実に減っているので、リモートワークとなっても必ず、そういったライトなミーティングに充てる時間は必要です。

7-2. コミュニケーションツールの活用

より良いチーム ビルディングを経て、帰属意識を醸成、維持するためにはコミュニケーション ツールを使いこなすことが重要です。Web 会議はもちろん、ちょっとした相談はチャット活用したり、クラウド ストレージを活用した情報共有も重要。とにかく組織につながっているという意識を維持することが重要です。

7-3. 「Microsoft Teams」を勧める理由

そこで注目してほしいツールが「Microsoft Teams」です。「Microsoft Teams」はチャットや Web 会議はもちろん、メールや Outlook の予定表も取り込み、ファイル共有、共同編集などの付随機能も充実させたコミュニケーションのハブとなる統合ツール。リモートワークが中心となり、メンバー同士が物理的な距離を感じざるを得ない中、「Microsoft Teams」は、同じオフィスにいるかのような感覚で、シームレスにメンバー間のコミュニケーションをデザインします。「Microsoft Teams」は、帰属意識、エンゲージメント醸成に欠かすことのできない優れたアプリケーション群といえます。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

帰属意識が薄れないリモートワークに! おすすめのガイドブック

Microsoft 365 カタログ

Microsoft 365 デジタル カタログ

クラウド版 Microsoft 365 なら、リモートワーク/ハイブリッド ワーク、業務効率化、コスト削減をトータルに実現! 製品のメリット、内容をわかりやく解説します。

ご購入検討の問い合わせ先

電話アイコン

お電話で購入相談

受付時間: 9:00 - 17:30 (土日祝日、弊社指定休業日を除く)

封筒アイコン

Web フォームで購入相談

本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。